2018年秋の大会

講演情報

一般セッション

V. 核燃料サイクルと材料 » 502-1 原子炉材料,環境劣化,照射効果,評価・分析技術

[1C14-17] 原子炉圧力容器2

2018年9月5日(水) 16:25 〜 17:30 C会場 (B棟 B21)

座長:福谷 耕司(INSS)

16:55 〜 17:10

[1C16] 平成29年度原子炉圧力容器及び炉内構造物の照射影響評価手法の高度化

(3)中性子照射を受けたオーステナイト系ステンレス鋼のミクロ組織と降伏強度の相関

*宮原 勇一1、西田 憲二1、陳 思維1、藤井 克彦2 (1. 電中研、2. 原子力安全システム研究所)

キーワード:オーステナイト系ステンレス鋼、中性子照射、アトムプローブ、TEM、降伏強度

高速炉(BOR-60)で約5~47 dpaまで照射されたオーステナイト系ステンレス鋼に対してアトムプローブ分析及びTEM観察を行った。アトムプローブ分析では約4 nmのニッケルとシリコンが濃化した溶質原子クラスターと一部の試料では約2 nmの銅が濃化した溶質原子クラスターが観察され、それらの数密度は5×1023~1024 m-3程度であった。また、照射前の加工度が高い材料では、ニッケルやシリコンが転位上に偏析した組織が観察された。TEM観察では約6 nmのブラックドットと完全転位ループが観察され、その数密度は1023 m-3程度であった。また、8~10 nmのフランクループが5~7×1022 m-3の数密度で観察され、一部の試料では約6 nmのγ'相が約6×1021 m-3の数密度で観察された。ミクロ組織から推定される降伏強度の増分は、昨年度に示した熱中性子炉(JMTR)で照射された316Lステンレス鋼と同様にクラスターの強度因子を一定としたオロワン機構によって推定できることが確認された。