2018年秋の大会

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[1O09,01-05] コミュニケーション

2018年9月5日(水) 10:15 〜 11:55 O会場 (D棟 D25)

座長:大矢 恭久(静岡大)

10:15 〜 10:30

[1O09] 原子力緊急事態における意思決定の戦略性とリアルタイム被害予測システムの役割

SPEEDIをめぐる論争状況の批判的検証を手がかりに

*寿楽 浩太1、菅原 慎悦2 (1. 東京電機大、2. 電中研)

キーワード:SPEEDI、原子力防災、リアルタイム被害予測システム、緊急時の意思決定、構造災

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の活用のあり方は、福島原発事故以降の原子力防災論議において大きな論点となってきた。発表者らは2017年春の年会で、SPEEDIに代表されるリアルタイム被害予測システムに対する関係者や社会の期待の高さが、緊急事態の実態と制度の乖離を生み、それが事故後の論争の分極化にもつながったさまを、質的調査に基づく科学技術社会学的な分析の結果として報告した。
 今回は、外国事例の調査に基づく国際比較をとおして、緊急時の意思決定に求められる戦略性と、リアルタイム被害予測システムがもたらす情報の活用のあり方について日本の状況を批判的に分析し、しくみの根本的な問題点を等閑視したまま制度や技術を設計・運用し続けて問題構造を温存・再生産する「構造災」状況により深く切り込みたい。