2020年秋の大会

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VII. 保健物理と環境科学 » 保健物理と環境科学

[2A08-12] 環境放射能・モニタリング2

2020年9月17日(木) 14:45 〜 16:15 A会場 (Zoomルーム1)

座長:塚田 祥文(福島大)

15:30 〜 15:45

[2A11] 福島における放射性物質分布調査

(11)福島県浪江町の森林源頭部流域における渓流水の溶存態放射性セシウム濃度の変動について

*赤岩 哲1、加藤 弘亮1、篠塚 友輝1、飯田 光1、恩田 裕一1 (1. 筑波大学)

キーワード:溶存態Cs-137、渓流水、土壌水、森林源頭部流域

本研究では、森林源頭部流域の表流水中の溶存態放射性セシウム濃度の形成メカニズムを解明することを目的とし、福島県浪江町の山地源頭部の森林流域を対象とした試験流域を設定し、2018年6月から2019年12月にかけて調査を行った。流域内の湧水及び渓流水の流量、気温、水温の観測をするとともに、湧水・渓流水・渓流近傍土壌水に含まれる溶存態セシウム137濃度及び、粗大有機物と浮遊砂の懸濁態セシウム137濃度測定した。観測結果から、表流水、土壌水中の溶存態セシウム137濃度は気温と正の相関を示し、湧水は流量の増加とともに溶存態セシウム137濃度が減少する傾向が認められた。さらに渓流水の溶存態セシウム137濃度は、湧水点から下流方向に向かって増加する傾向を示した。以上の結果から、表流水の溶存態セシウム137濃度の変動要因として、気温や水温の変動とともに、流量・地下水変化に伴う源頭部の飽和土壌帯の拡大縮小により表流水への溶存態セシウム137濃度の供給経路が変化していることが示唆された。