2020年春の年会

講演情報

一般セッション

IV. 原子力プラント技術 » 402-1 原子力安全工学(安全設計,安全評価,マネジメント)

[2K06-07] 福島第一原子力発電所事故

2020年3月17日(火) 11:20 〜 11:55 K会場 (共通講義棟 S棟2F S-21)

座長:村上 健太(長岡技科大)

11:20 〜 11:35

[2K06] 福島第一発電所事故の原子炉建屋爆発原因考察とその対策について

排気塔閉塞が主因と特定(その3)

*森重 晴雄1、山敷 庸亮1 (1. 福島事故対策検討会)

キーワード:建屋爆発、水素、排気塔、閉塞、福島第一

本題について2018年春の大会から今までに3回投稿している。排気塔の線量分布報告書によると、底が一番高く高さ50m付近から上の部分が急減し頂部は0に近い。そして爆発時の写真・ビデオでは排気塔から全く排煙していない。したがって排気塔が爆発前に閉塞したことが判る。1回目の投稿では閉塞要因はサイレンサー閉塞かベントガスの水蒸気結氷が原因と発表した。しかし、東電から排気塔にはサイレンサーがないと連絡があった。2回目の投稿では高圧になったベントガスが排気塔内で大気開放されて断熱膨張の現象が発生しベントガスが急冷し、ベント中の水蒸気が結露し、その後雪となり、その雪が排気塔内で閉塞したと発表した。放出前のSC室内の温度が1号機90℃3号機170℃と報告されている。断熱膨張の効果などを得ても雪にならないと判明した。雪となるにSC室内は最高でも70℃以下の必要があった。雪になるには新たな条件が必要であった。ベント時、SC内ではベントガスと内部の水が激しく混流する。ここで排気ガスはSC室内の水温になる。排気塔内でベントガス内水蒸気が雪となるかはSC室内の水温によって決まることが判った。通電後のSC内水温は約50℃と報告されている。炉心溶融後の熱量計算を行っても約50℃以下であること確認された。よってベント時にSC室内で50℃以下に急冷されたベントガスがさらに排気塔内で断熱膨張を起こし、急冷し-20℃以下となりガス中の水蒸気が雪となりそれが排気塔内で雪のドームを形成し、排気塔を閉塞した。その結果ベントガス中の水素が建屋排気ラインを逆流し、通電試験中に発火爆発したと判断される。