2023年秋の大会

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VII. 保健物理と環境科学 » 保健物理と環境科学

[3J01-08] 福島1

2023年9月8日(金) 09:45 〜 11:55 J会場 (ES総合館2F ES025)

座長:山澤 弘実(名大)

11:15 〜 11:30

[3J07] 福島における放射性物質分布調査

(7) 森林斜面からの浅層地下水流出による溶存態Cs-137移行フラックスの推定

*庭野 佑真1、加藤 弘亮1、Anderson Donovan1、佐藤 ひかる1、飯田 光1、中西 美夕1、恩田 裕一1 (1. 筑波大)

キーワード:福島第一原子力発電所事故、表流水、溶存態セシウム、斜面地下水、森林源頭部流域

本研究は,高沈着量地域である福島県浪江町の森林源頭部流域を対象とし,表流水の溶存態Cs-137の変動要因について,流下過程での濃度変化や斜面地下水の流入による影響を調査した。試験流域において,平水時には表流水および地下水を,出水時には表流水を採取し,溶存態Cs-137濃度を分析した。また,詳細な水文観測により表流水や斜面土層地下水の流出量を定量化し,表流水へのCs-137流出フラックスの推定を試みた。本研究の結果から,出水時には表流水の溶存態Cs-137濃度の上昇が確認された。また,既往研究で報告されている溶出率データを用いて,堆積有機物からの放射性セシウムの溶出による表流水のCs濃度への寄与を推定した。さらに,水流出とCsフラックスの収支計算を行い,斜面浅層地下水の流出による表流水への溶存態Cs流出寄与率を推定した。今後の課題として,本試験流域におけるリターを用いた溶出試験,地下水のCs濃度の時系列変化の調査が必要である。