2023年秋の大会

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VII. 保健物理と環境科学 » 保健物理と環境科学

[3J09-12] 福島2

2023年9月8日(金) 14:45 〜 15:55 J会場 (ES総合館2F ES025)

座長:木名瀬 栄(JAEA/茨大)

14:45 〜 15:00

[3J09] 福島における放射性物質分布調査

(9) スギ林における当年性樹木細根中放射性セシウムの経年変化

*高橋 純子1、佐々木 拓哉1、井口 啓1,2、恩田 裕一1 (1. 筑波大、2. JAEA)

キーワード:樹木細根、面移行係数、経根吸収、森林除染、福島第一原子力発電所事故

樹木根中の放射性セシウム動態に関するデータは依然として乏しい。そこで、本研究では福島県川俣町山木屋地区スギ若齢林における2012, 2015, 2017, 2020年の土壌深度分布調査のサンプルから樹木細根を選り分け、放射性セシウム濃度を深度別に測定した。その結果、0-2 cmの細根中Cs-137濃度はCs-133と異なりリター層中のCs-137濃度と高い正の相関にあり、時間とともに減少した。一方、2 cm以下では細根中のCs-137濃度はその深度の土壌中Cs-137濃度と高い正の相関にあり、時間とともに増加する傾向にあった。細根中Cs-137存在量に大きな影響を与える細根のバイオマス量は表層から指数関数的に減少した。そのため、濃度変化を反映した2-20 cmの細根中Cs-137存在量の増加量よりも0-2 cmの細根中Cs-137存在量の減少量のほうが大きく、樹木細根/(リター+土壌)のCs-137存在量比は時間とともに減少する傾向を示した。土壌中のCs-137下方移行の進行は根によるCs-137吸収量の低下につながることが期待される。