第60回全日本病院学会

セッション情報

外国人技能実習生受入事業

外国人技能実習生受入事業
「外国人技能実習生(介護分野)の受入れについて」

2018年10月6日(土) 10:30 〜 11:50 第2会場 (パレロワイヤルC)

座長:山本登 (公益社団法人全日本病院協会 常任理事 / 公益社団法人全日本病院協会 外国人技能実習生受入事業 担当役員 / 公益社団法人全日本病院協会 国際交流委員会 委員長 / 医療法人五星会 菊名記念病院 理事長)

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 間近に迫った2025年問題、団塊世代が75歳の後期高齢者に大量参入するが、その備えは十分と言えるであろうか。特に240万人以上の人材確保が必要とされる介護分野では40万人程度が不足すると想定される。
 国際交流委員会はこの喫緊の課題に対処するため、外国人介護人材の登用は不可欠と判断し、現行の不備が改定され新たに「介護」が加わる「技能実習制度」に着目し、数年前からWGを立上げ、人材確保対象国としてベトナムを確定し、また機関決定を得て受入事業部の設立と、団体型監理団体の許可取得を行い、同時に数回の同国訪問を重ね、優良送出し機関の選定を行ってきた。技能実習制度では前職要件として同種職業従事者が対象となるため、同国では家族介護が中心で介護職は殆ど存在しないこともあり、余剰となっている看護師(3叉は4年制看護学校卒業者)の招聘が病院医療の現場では有用と判断し、各医療短大やその他の看護師養成校を訪問し可能性を模索した。派生的に同国看護協会との交流が生まれ、これまでに3回の共催セミナーを実施して、将来的に実習生の帰国後にその習得技能が生かせる環境作りも視野に入れた啓蒙活動を行った。叉、来日後1年で日本語能力試験3級合格が必須とされるため、通常の実習生は4級で来日可能なところを、ほぼ1年間の日本語教育による3級取得後に来日可能とする条件を設定した。
 2017年11月に技能実習法が発効し、本会も監理団体としての許可を得たが、日越両国の諸条件の合意に時間を要し、またベトナム国内における送出し機関の認定も大幅な遅れを生じており、現段階では本制度の正式運用下の実習生来日には至っていない。当協会としては数回の会員施設へのアンケート調査を実施し、受入れ要望施設の把握と、希望条件などの実態を踏まえ、監理費、その他の諸条件の設定、受入れ規模や配置基準の設定を行い、全国数か所で本事業の説明会も開催し、受入準備を重ねている。
 本学会では司会の委員長:山本が総論的に新たな技能実習制度の概要、他の受入れシステムとの比較、本事業導入に至る経緯、今後の事業展開、などを説明、大田委員からは自施設での経験を踏まえ、外国人医療スタッフ養成のピットフォールなどを披露、二文字屋WG委員からは、豊富な海外事業経験をもとに、過去の技能実習の問題点や介護技能実習の想定される諸課題を提示して戴く。また実際に現地送出し機関を運営し、自身も嘗ては実習生であり、本会と業務提携したCICS社のマイ社長に、送出し側からの視点で諸問題を提起して戴く予定である。
 本稿記載時には未確定情報ではあるが、技能実習制度を核に外国人労働者の受入緩和策が次々と報道されており、本学会時には討論の時間なども用い、分かる範囲で言及する予定である。

演者:山本登1,2,3,4, 大田泰正5,6,7,8, 二文字屋修9,10,11, Mai Anh12 (1.公益社団法人全日本病院協会 常任理事, 2.公益社団法人全日本病院協会 外国人技能実習生受入事業 担当役員, 3.公益社団法人全日本病院協会 国際交流委員会 委員長, 4.医療法人五星会 菊名記念病院 理事長, 5.公益社団法人全日本病院協会 常任理事, 6.公益社団法人全日本病院協会 外国人技能実習生受入事業 構成員, 7.公益社団法人全日本病院協会 国際交流委員会 委員, 8.社会医療法人祥和会 脳神経センター・大田記念病院 理事長, 9.公益社団法人全日本病院協会 外国人技能実習生受入事業 構成員, 10.公益社団法人全日本病院協会 国際交流委員会(WG) WG委員, 11.NPO法人 AHPネットワークス 専務, 12.国際協力サービス株式会社(CICS社) 代表取締役会長)