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[131] 立地適正化計画策定自治体における建築行為の実態に関する研究
―非線引き都市・岩手県花巻市を対象として
キーワード:立地適正化計画、都市機能誘導区域、居住誘導区域
本研究は立適策定自治体を対象に、計画公表前後の建築行為の量的・空間的変化を把握することで、立適制度による開発誘導の効果、課題とその要因を明らかにすることを目的とする。花巻市では立適の公表後に誘導区域内での建物の立地が進行し、都市機能誘導区域や居住誘導区域でも誘導を意図する用途の立地が進行するなど、当該計画の意図する誘導が外形的には実現されているといえる。また、誘導区域外においても用途地域内や誘導区域から近いエリアでの新築が増加し、誘導を意図したエリアへの集約化の傾向も見られる。しかし、具体的な誘導効果を見ていくと、誘導施設の件数は計画策定当初から意図したものの他は立地誘導が進んでおらず、誘導区域内から誘導区域外へ移転した例も見られるなど、都市機能誘導に逆行する動きもみられた。居住誘導についても、届出を義務付けている大規模な住宅開発は計画公表後も誘導区域外に立地し、むしろ誘導区域内よりも増加率が高い。このように、当該計画の具体的な施策について見た場合、実態として直接的な効果が出ているとは評価しがたい。結果として、従来から土地利用規制のない非線引き都市においては、小学校区や地価などの選好要因による無秩序な住宅開発等が継続しており、「線引きの代替措置」として期待していた立地誘導機能は十分に発揮されていないといえる。