2021年度全国大会(第56回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[25]-[29]

2021年11月6日(土) 09:40 〜 11:40 第III会場 (共通講義棟C EL26)

司会:永野 聡(立命館大学)、近藤 早映(三重大学)

10:20 〜 10:40

[27] 並行在来線の収益構造の分析から見た今後の鉄道経営のあり方について

○岡田 忠夫1 (1. しなの鉄道)

キーワード:並行在来線、しなの鉄道、沿線地域活性化、第三セクター、上下分離

我が国の大動脈として物流や人の移動を支えた旧信越本線等の鉄道幹線は、新幹線の開業により並行在来線として新たな役割を担うことになったが、今後も新幹線の延伸等により新たな設立が予測され、地方におけるその存在意義は小さくない。本論文では、現在の並行在来線8社を対象にその輸送実績及び収益構造の分析から並行在来線特有の課題を把握し、今後の並行在来線における鉄道経営のあり方を検討するための論点を得ることを目的とする。
本論文からは、並行在来線は株式会社の形態を取り市場に基づく経営を行う必要がある一方、収入面では教育政策の影響を受ける通学定期利用者や国策に基づく線路使用等、国や自治体の施策に大きく影響を受けやすいリスクを抱えていることや費用面においても鉄道特有の様々な施設設備を各社自ら保有し維持修繕を行っていることから工事のスケールメリットが効きにくいことや各工種に対応する職能ごとの人員体制を保持しておく必要があり、費用の圧縮が困難であること等が明らかになった。今後は、並行在来線各社が連携した取り組みを加速させつつ、国等の支援を得つつ汎用性のある支援スキームの検討を行っていく必要があると考える。