2021年度全国大会(第56回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[77]-[81]

2021年11月6日(土) 12:40 〜 14:20 第VII会場 (共通講義棟C EL45)

司会:津々見 崇(東京工業大学)、中島 伸(東京都市大学)

12:40 〜 13:00

[77] 在郷町における近代の土地所有形態に着目した集落空間形成過程

-富山県富山市上滝を対象として

○柴田 純花1 (1. 無所属)

キーワード:在郷町、歴史的集落、都市形成、近代化、土地所有、富山

本研究の目的は、地方都市郊外部の在郷町を対象に、都市的空間構成要素の変容に土地所有形態が与えた影響を分析し、近代の集落空間形成過程を明らかにすることである。在郷町では、集落の空洞化という問題と、都市計画上の役割の増大という実態から、将来の空間計画が必要とされている。本研究は、これに向けた在郷町の歴史性と固有性の解明のため、基礎的知見を蓄積することを目指す。本研究では、富山県富山市上滝地区を事例として、宅地、公共施設、商店、工場の4要素に着目し、近代における空間的配置の変遷を分析した。また、それぞれについて、土地所有形態が集落空間の変化に及ぼした影響を分析した。この結果、上滝では、大地主の貸地による用地供出が、近代に必要となった新たな機能の立地と、集落空間の拡大に大きな影響を与えていたことが明らかになった。上滝は、周辺農村との関係性の変化に応じて、集落空間を大きく変容させてきた。この時、上滝中心部では、旧街道沿いで近世以来の地割が存続したのに対し、街道裏手に新たな施設や産業が立地した。街道裏手における集住範囲の拡大の方向には偏りがあり、大地主の意思決定がこれに影響を与えていた。