2021年度全国大会(第56回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[108]-[110]

2021年11月7日(日) 13:00 〜 14:00 第III会場 (共通講義棟C EL26)

司会:李 鎔根(東京大学)

13:00 〜 13:20

[108] 私有空間を利用した住民運営型の高齢者交流拠点づくり促進策の成果と課題

-地方小都市での取り組みに着目して

○尾澤 俊1、藤井 さやか2 (1. 牛久市役所、2. 筑波大学システム情報系社会工学域)

キーワード:私有空間、住民運営、交流拠点、小都市、高齢者、閉じこもり

近年、高齢者の閉じこもり予防のひとつの対応策として、住民運営による自宅や空き家等の私有空間を利用した交流拠点(交流拠点)づくりを支援する取り組みが新潟市などで進んでいる。本研究は、財政難や人員不足を抱える小都市における、安価で友人宅のように気軽な交流拠点づくりを促進する施策(促進策)や交流拠点の実態を把握し、促進策による交流拠点の広がりに資する工夫や課題の検討を行った。研究の方法として、人口20万人未満の100市に対するアンケート調査、8市担当者へのヒアリング調査、8ヵ所の交流拠点運営者へのヒアリング調査を行った。本研究で得られた知見は以下のとおり。(1)運営者の意見を反映して促進策を見直すといった着実な運用を行う市において交流拠点数の増加が確認された。(2)交流拠点を目的や特徴から(A)多くの高齢者の利用を目指した交流拠点、(B)多世代交流を目指した交流拠点、(C)気軽さを目指した交流拠点の3つのタイプに分類した。いずれも高齢者の閉じこもり予防につながる開催頻度の設定や多彩な交流活動が行われていた。(3)市担当は私有空間交流拠点に多くのメリットを見出している。交流拠点づくりを広げていくために、市担当と交流拠点運営者とが対話をする機会が仕組みとして備わっていることが有効である。