2022年度全国大会(第57回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[95]-[100]

2022年12月4日(日) 09:20 〜 11:50 第I会場 (9号館 911教室)

司会:椎野 亜紀夫(札幌市立大学)、阿久井 康平(大阪公立大学)、木村 優介(京都大学)

11:10 〜 11:30

[99] 河川環境再生に向けた広域空間計画における市民参加型検討プロセスの特徴

-ニュージーランド・クライストチャーチにおけるオタカロ・エイボン川回廊再生計画を対象として

○上林 就1、福島 秀哉2 (1. 株式会社日建設計、2. 株式会社上條・福島都市設計事務所)

キーワード:河川環境再生、市民参加型検討プロセス、移転元地

近年頻発化・激甚化する洪水に備え、洪水リスクの高い河川周辺では住居移転を伴う土地利用規制が検討されており、移転後の移転元地の活用方法に関する議論は重要な課題である。活用方法の一つに、都市開発以前の在来の自然環境を取り戻す自然再生が挙げられるが、広域空間計画策定における河川環境再生の価値の市民との共有には課題が多い。
本研究は、クライストチャーチでのオタカロ・エイボン川回廊再生計画の市民参加型検討プロセスに着目した広域空間計画策定過程の分析を通して、河川環境再生の価値を計画主体と市民で共有することができた検討プロセスの特徴を明らかにすることを目的とする。
成果として、計画主体であるRCが河川環境再生の価値を市民と共有することができた検討プロセスの特徴を明らかにした上で、河川環境再生に向けた広域空間計画の形成にとって、検討初期に計画主体と市民の間で土地条件のような合意形成基盤の共有、そして洪水リスクの高い堤外地のように多くの市民が価値を共有しやすい場所から段階的に自然再生の範囲を広げていく空間計画の検討・提示のプロセスの有効性を指摘した。