2023年度全国大会(第58回論文発表会)

講演情報

都市計画論文

講演番号[110]-[116]

2023年11月12日(日) 09:20 〜 11:50 第IV会場 (A棟 G22教室)

司会:石原 凌河(龍谷大学)、岩見 達也(国土技術政策総合研究所)、荒木 裕子(京都府立大学)、坂本 淳(高知大学)

11:10 〜 11:30

[115] 分散避難を考慮したSP調査に基づく避難選択行動に関する研究

-川崎市直下地震を想定した高津区・宮前区を対象に

○多田 健太1、大津山 堅介2、廣井 悠2 (1. 東京大学 工学部、2. 東京大学 先端科学技術研究センター)

キーワード:分散避難、車中泊、選択行動、多項ロジットモデル

近年の激甚な災害を経て,避難所の過密とそれに伴う災害関連死が問題視されており,避難所の過密問題の緩和策として分散避難という考え方が注目されている.本研究は地震における収容避難を対象として分散避難に対応した避難者推定モデルを構築し,避難者数の推定及び避難所過密への政策考案を行うことを目的とする.神奈川県川崎市高津区及び宮前区におけるSP調査をもとに,車の有無と居住形態により対象を分けた多項ロジットモデルを構築し,避難所の過密緩和を複数の政策考案により検討した.結果として,避難所避難者数が収容人数の約50%超過した.本研究対象地における車中泊避難所の環境整備は,政策効果は薄く,現状川崎市で行われている10階建て以上の集合住宅における在宅避難は,そこまで効果的ではなかったものの,6階建て以上に対象を拡大した場合,効果的な政策となった.在宅避難を支援する環境整備の政策効果も検討した結果,停電・断水対策共に,単体では避難者数を収容人数内に収めることは不可能であることがわかった.本研究の重要な成果は,居住者を一律に扱うのではなく,多様な属性の変数の束として想定を与えることの重要性を訴求した点が挙げられる.