日本認知心理学会第13回大会

講演情報

シンポジウム

[S4] シンポジウム4

対人・社会的認知

2015年7月5日(日) 13:50 〜 16:20 1大 (法文2号館)

企画・司会:遠藤利彦(東京大学), 指定討論:遠藤由美(関西大学)

[S-4] アタッチメントとセクシャリティの認知心理学

遠藤利彦1, 坂口菊恵1, 金政祐司2, 高橋翠1, 遠藤由美3 (1.東京大学, 2.追手門学院大学, 3.関西大学)

アタッチメントとセクシャリティの問題は従来、社会人格心理学領域の中核的テーマの一つとして様々に問われてきた。そして、その現代的展開として、異性関係を含む親密な対人関係の構築や維持あるいは分断に、いかなる社会情報処理過程および認知的機序が絡み得るのかを、微視的に、また種々の認知心理学的実験パラダイムに依りながら解明しようとする方向性がある。歴史を遡って見れば、例えば、アタッチメント理論の創始者たるJohn Bowlby(1973)は、その後、Philip Johnson-Lairdらによって「メンタル・モデル」として発展していくことにもなる、20世紀前半の認知心理学者Kenneth Craik(1943)の「内的作業モデル(Internal Working Model)」概念に想を得て、幼少期における養育者との関係性が、個人に固有の内的表象として内在化され、それが社会情報処理の基盤として機能することによって、生涯に亘る様々な他者との一貫したスタイルでの相互作用を導くことになると仮定したことで知られている。それは、多様な対人関係をめぐる研究の展開において枢要な説明装置としての役割を果たしてきたと言い得るが、それ自体の認知処理過程の実態や機序が、精細な実証的検討に付されることは比較的最近までなかった。しかし、近年、その状況は大きく変わりつつある。このシンポジウムが企図するところは、そうした研究の現代的動向を俯瞰しながら、その課題を掘り起こし、今後の行方を占うことである。

話題提供
・坂口 菊恵#(東京大学)
「ヒトにおける性戦略と異性間コミュニケーションにおける認知処理の個体差」(仮)
・金政 祐司#(追手門学院大学)
「アタッチメントと恋愛に絡む社会的情報処理プロセスとその帰結」(仮)
・高橋 翠(東京大学)
「マスキュリニティとリスク回避の視座から見る女性における男性顔の魅力認知」(仮)