[PA009] 教員養成系大学生の子どもの問題行動への対応と問題対応効力感
Keywords:問題行動, 対応, 自己効力感
【問題】
三本ら(2010)は現職教師の子どもの問題行動への対応に関する自己効力感(以下,問題対応効力感)を測定するために自己評定尺度を開発し,一定の信頼性と妥当性を確認した。その結果,2因子からなることが示され,「内在化問題への対応」に比べて「外在化問題への対応」に関する自己効力感を低く見積もることが明らかとなった。また,この尺度を使用した金山ら(2011)の教師志望学生を対象とした研究では,同様の結果が得られている。しかし,金山らの研究では学生に影響すると考えられる教育実習や学校ボランティアについて検討されていない。そのため,本研究では学生の教育実習や学校ボランティア等の実態も含めて,問題対応効力感について検討する。また,子どもの問題行動への対応について質的に検討することを目的とする。
【方法】
対象:教員養成系大学に通う学生244名
調査時期:2014年5月
質問紙構成:
①学生の教職志望,教育実習経験,学校ボランティアに関する項目:教職志望意欲(4件法),教育実習経験の有無及び校種,学校でのボランティア経験の有無,校種,期間,内容
②問題対応効力感尺度(三本ら,2010):全13項目8件法,「外在化問題への対応(8項目)」「内在化問題への対応(5項目)」からなる。
③子どもの問題行動への対応に関する自由記述:
教師が学校生活で直面すると考えられる子どもの問題解決場面を5つ想定した。1つの場面に対して,「あなたを小学校高学年の担任の先生と想定します。次の場面に直面したときを想像して,担任としてどのような対応をするかを具体的に書いてください。」と教示した。
【結果】
①全体における問題対応自己効力感の差
全144名の「外在化問題への対応」「内在化問題への対応」において,有意な差が見られた(t(243)=19.81,p<.001)。
②教職志望の有無と問題対応効力感の差
全244名のうち教職志望者は97名,非教職志望者は147名であった。教職志望の有無において「外在化問題への対応」(t(242)=1.15,n.s.),「内在化問題への対応」(t(242)=.81,n.s.)にそれぞれ有意な差は見られなかった。また教職志望者の「外在化問題への対応」「内在化問題への対応」において有意な差が見られた(t(96)=16.94,p<.001)。
③子どもの問題行動への対応に関する自由記述の
分析:場面①の「授業中にある児童が関係ないことを隣の子に話しかけている」場面では,8つのカテゴリー(注意・引きつけ・声かけ・見守り・諭す・環境調整・接近・罰)が抽出された。場面②の「グループでの話し合いのとき,ある児童が自分の意見を無理やり通そうとしている」場面では,14カテゴリー(介入・諭す・提案・促し・見守り・声かけ・肯定・問いかけ・注意・ほめる・説明・全体指導・説得・個別対応)が抽出された。場面③の「ある児童が丸つけの順番に割り込んだ」場面では,11個のカテゴリー(注意・諭す・指示・声かけ・問いかけ・罰・見守り・全体指導・叱る・環境調整・促し)が抽出された。場面④の「ある児童が遊びのルールを守らずに勝手な行動をしている」場面では,14個のカテゴリー(諭す・注意・見守り・説明・介入・全体指導・問いかけ・声かけ・中断・個別対応・環境調整・罰・促し・叱る)が抽出された。場面⑤の「みんなで遊んでいるとき,ある児童が自分の思い通りにならないとすぐに怒ってどこかに行ってしまう」場面では,12個のカテゴリー(個別対応・見守り・諭す・声かけ・注意・全体指導・問いかけ・寄り添う・配慮・促し・環境調整・説得)が抽出された。
【考察】
結果より,全体においては内在化問題より外在化問題への対応に関する自己効力感を高く見積もることが分かった。また,教職志望者のみにおいても同様の結果が得られた。この結果は金山ら(2011)の研究と異なる結果となった。これは,今回の研究の対象者が教育実習やボランティア経験がない者が多かったため,外在化問題への対応の方が想像しやすかったためと考えられる。また,自由記述では,児童が高学年であることを意識して,児童に問いかけて考えさせたり,児童同士のやりとりを見守ろうとしたりすることが明らかとなった。
三本ら(2010)は現職教師の子どもの問題行動への対応に関する自己効力感(以下,問題対応効力感)を測定するために自己評定尺度を開発し,一定の信頼性と妥当性を確認した。その結果,2因子からなることが示され,「内在化問題への対応」に比べて「外在化問題への対応」に関する自己効力感を低く見積もることが明らかとなった。また,この尺度を使用した金山ら(2011)の教師志望学生を対象とした研究では,同様の結果が得られている。しかし,金山らの研究では学生に影響すると考えられる教育実習や学校ボランティアについて検討されていない。そのため,本研究では学生の教育実習や学校ボランティア等の実態も含めて,問題対応効力感について検討する。また,子どもの問題行動への対応について質的に検討することを目的とする。
【方法】
対象:教員養成系大学に通う学生244名
調査時期:2014年5月
質問紙構成:
①学生の教職志望,教育実習経験,学校ボランティアに関する項目:教職志望意欲(4件法),教育実習経験の有無及び校種,学校でのボランティア経験の有無,校種,期間,内容
②問題対応効力感尺度(三本ら,2010):全13項目8件法,「外在化問題への対応(8項目)」「内在化問題への対応(5項目)」からなる。
③子どもの問題行動への対応に関する自由記述:
教師が学校生活で直面すると考えられる子どもの問題解決場面を5つ想定した。1つの場面に対して,「あなたを小学校高学年の担任の先生と想定します。次の場面に直面したときを想像して,担任としてどのような対応をするかを具体的に書いてください。」と教示した。
【結果】
①全体における問題対応自己効力感の差
全144名の「外在化問題への対応」「内在化問題への対応」において,有意な差が見られた(t(243)=19.81,p<.001)。
②教職志望の有無と問題対応効力感の差
全244名のうち教職志望者は97名,非教職志望者は147名であった。教職志望の有無において「外在化問題への対応」(t(242)=1.15,n.s.),「内在化問題への対応」(t(242)=.81,n.s.)にそれぞれ有意な差は見られなかった。また教職志望者の「外在化問題への対応」「内在化問題への対応」において有意な差が見られた(t(96)=16.94,p<.001)。
③子どもの問題行動への対応に関する自由記述の
分析:場面①の「授業中にある児童が関係ないことを隣の子に話しかけている」場面では,8つのカテゴリー(注意・引きつけ・声かけ・見守り・諭す・環境調整・接近・罰)が抽出された。場面②の「グループでの話し合いのとき,ある児童が自分の意見を無理やり通そうとしている」場面では,14カテゴリー(介入・諭す・提案・促し・見守り・声かけ・肯定・問いかけ・注意・ほめる・説明・全体指導・説得・個別対応)が抽出された。場面③の「ある児童が丸つけの順番に割り込んだ」場面では,11個のカテゴリー(注意・諭す・指示・声かけ・問いかけ・罰・見守り・全体指導・叱る・環境調整・促し)が抽出された。場面④の「ある児童が遊びのルールを守らずに勝手な行動をしている」場面では,14個のカテゴリー(諭す・注意・見守り・説明・介入・全体指導・問いかけ・声かけ・中断・個別対応・環境調整・罰・促し・叱る)が抽出された。場面⑤の「みんなで遊んでいるとき,ある児童が自分の思い通りにならないとすぐに怒ってどこかに行ってしまう」場面では,12個のカテゴリー(個別対応・見守り・諭す・声かけ・注意・全体指導・問いかけ・寄り添う・配慮・促し・環境調整・説得)が抽出された。
【考察】
結果より,全体においては内在化問題より外在化問題への対応に関する自己効力感を高く見積もることが分かった。また,教職志望者のみにおいても同様の結果が得られた。この結果は金山ら(2011)の研究と異なる結果となった。これは,今回の研究の対象者が教育実習やボランティア経験がない者が多かったため,外在化問題への対応の方が想像しやすかったためと考えられる。また,自由記述では,児童が高学年であることを意識して,児童に問いかけて考えさせたり,児童同士のやりとりを見守ろうとしたりすることが明らかとなった。