[PE014] 教員・保育者をめざす大学生に他者との関わりを促進する試み
グループワークトレーニング(GWT)を活用した実践
キーワード:GWT, 他者との関わり, 大学生
目的 幼稚園教育要領(第3章第1.11))には,幼稚園全体の教師による協力体制をつくること(6)や,家庭との連携を十分に図ること,保護者との情報交換の機会を設けること(8)と記されている。
教員・保育者をめざす大学生が,現場で同僚や保護者とより良い人間関係を築き協働性を高めることができるようになるために,他者との関わりの機会を多く体験する必要がある。筆者らは,「自他への肯定的対応の試み(河内・小嶋)2)」で示したように,毎回他者との交流をする実践を重ねてきた。本研究は,グループで共同作業をすることによって,「協力するよさ,他者のよさ(個性),自分のよさ(個性)に気づき,自ら気づいて行動変容することを援助する」というねらいをもつグループワークトレーニング(Group Work Training,以下GTWと記す)の中から「情報を組み立てるGWT」を活用し,授業後のアンケートとミニレポートからその効果を検証する。
方法 対象:201X年度大学3年生144人4クラス。
Team Teachingによる2組ずつのリピート授業。
実施時期:「教育相談」3年前期第6回目講義。
内容: 5種類のGWT(表1)3)の内,今回は「Ⅱ情報を組み立てるGWT(ムシムシ教室の席かえ)4)」を活用した。
GWTⅡでは、表2に示した重要な内容①~⑤を実行しながら協力して解決すること(今回は,誰がどの席に座っているか考える)を目標としている。GWTの時間配分は,課題の説明・共同作業20分・グループの振り返り10分とし,その後ミニレポートを課した。学生は,毎回の受講後に自由記述のミニレポートで,課題A「授業で学んだと」と課題B「感想・体験して考えたこと・感じたこと・これから活かせること」を提出している。今回はGWTについての振り返りシート(4肢選択)と課題Bを分析する。
結果と考察 各自の振り返りシート(表3)では,①(とてもよく出来た)+②(まあまあ出来た)欄で,人の話をよく聞き(99.3%)よく話し(99.3%),協力できた(100%)となり,情報を組み立てるGWTは表2の重要な内容を達成できたと推察される。
4人のグループ活動の結果,「誰がどの席に座っているか(表3)」は,96.5%の学生が解決出来ていた。ミニレポート課題Bの自由記述を,KJ法によってまとめ表4に示す。回答総数441件(1人3.1件)の内,a他者との関わりに関する記述が222件(総数の50.3%),b情報の共有に関する記述が123件(同27.9%),c達成感への記述が96件(同21.8%)であった。他者との関わりで情報を共有し達成感を味わうことができたと推察する。情報の共有は思ったより難しかったと記述した8件(人)(表4※)を個別に調査すると,GWTを終えて「お互いに協力し合う良さや必要性を感じた(6人)」「完成後の達成感を味わった(3人)」と肯定的に記されていた。さらに,GWT全体のねらいが「自ら気づいて行動変容することを援助する」ことであり,ミニレポート課題Bの「これから活かせること」という自由記述の行動変容に繋がる表現を抽出し,KJ法によって分析した(表5)。
144人中67人(46.5%)の学生が,自らの行動変容に繋がる内容を他者への関わりや支援に活かしたいと記述していた。
今後の課題 他者と関わって課題を完成させる体験は,聞く・話す・協力するよさを体感できることから,教員・保育者養成段階で体験の機会を増やすことが必要と考える。
参考:1)幼稚園教育要領解説 (2008)文部科学省フレーベル社p.266 2)河内・小嶋(2013)日本教育心理学会第55回総会論文集p.204 3)4)学校グループワークトレーニング(2003) 日本学校GWT 研究会 遊戯社 p.p.1-113),42-464)
教員・保育者をめざす大学生が,現場で同僚や保護者とより良い人間関係を築き協働性を高めることができるようになるために,他者との関わりの機会を多く体験する必要がある。筆者らは,「自他への肯定的対応の試み(河内・小嶋)2)」で示したように,毎回他者との交流をする実践を重ねてきた。本研究は,グループで共同作業をすることによって,「協力するよさ,他者のよさ(個性),自分のよさ(個性)に気づき,自ら気づいて行動変容することを援助する」というねらいをもつグループワークトレーニング(Group Work Training,以下GTWと記す)の中から「情報を組み立てるGWT」を活用し,授業後のアンケートとミニレポートからその効果を検証する。
方法 対象:201X年度大学3年生144人4クラス。
Team Teachingによる2組ずつのリピート授業。
実施時期:「教育相談」3年前期第6回目講義。
内容: 5種類のGWT(表1)3)の内,今回は「Ⅱ情報を組み立てるGWT(ムシムシ教室の席かえ)4)」を活用した。
GWTⅡでは、表2に示した重要な内容①~⑤を実行しながら協力して解決すること(今回は,誰がどの席に座っているか考える)を目標としている。GWTの時間配分は,課題の説明・共同作業20分・グループの振り返り10分とし,その後ミニレポートを課した。学生は,毎回の受講後に自由記述のミニレポートで,課題A「授業で学んだと」と課題B「感想・体験して考えたこと・感じたこと・これから活かせること」を提出している。今回はGWTについての振り返りシート(4肢選択)と課題Bを分析する。
結果と考察 各自の振り返りシート(表3)では,①(とてもよく出来た)+②(まあまあ出来た)欄で,人の話をよく聞き(99.3%)よく話し(99.3%),協力できた(100%)となり,情報を組み立てるGWTは表2の重要な内容を達成できたと推察される。
4人のグループ活動の結果,「誰がどの席に座っているか(表3)」は,96.5%の学生が解決出来ていた。ミニレポート課題Bの自由記述を,KJ法によってまとめ表4に示す。回答総数441件(1人3.1件)の内,a他者との関わりに関する記述が222件(総数の50.3%),b情報の共有に関する記述が123件(同27.9%),c達成感への記述が96件(同21.8%)であった。他者との関わりで情報を共有し達成感を味わうことができたと推察する。情報の共有は思ったより難しかったと記述した8件(人)(表4※)を個別に調査すると,GWTを終えて「お互いに協力し合う良さや必要性を感じた(6人)」「完成後の達成感を味わった(3人)」と肯定的に記されていた。さらに,GWT全体のねらいが「自ら気づいて行動変容することを援助する」ことであり,ミニレポート課題Bの「これから活かせること」という自由記述の行動変容に繋がる表現を抽出し,KJ法によって分析した(表5)。
144人中67人(46.5%)の学生が,自らの行動変容に繋がる内容を他者への関わりや支援に活かしたいと記述していた。
今後の課題 他者と関わって課題を完成させる体験は,聞く・話す・協力するよさを体感できることから,教員・保育者養成段階で体験の機会を増やすことが必要と考える。
参考:1)幼稚園教育要領解説 (2008)文部科学省フレーベル社p.266 2)河内・小嶋(2013)日本教育心理学会第55回総会論文集p.204 3)4)学校グループワークトレーニング(2003) 日本学校GWT 研究会 遊戯社 p.p.1-113),42-464)