日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PE

(5階ラウンジ)

2014年11月8日(土) 13:30 〜 15:30 5階ラウンジ (5階)

[PE019] 教職科目での施設見学で変化した障害イメージの検討

SD法による要素の検討と学生の易変性について

今野博信 (学泉舎)

キーワード:発達障害, 発達支援, 生徒指導

1.目的と方法
室蘭工業大学(非常勤)の教職科目において、児童発達支援施設の見学を行った(2013.10)。これは、発達障害についての理解を深めさせることを目指した授業であった。見学の前後と約2ヵ月後の合計3回、SD法による障害イメージの調査を行い、見学授業の効果と受講学生自身の内面変化を検討した。
SD法の形容詞対は20対からなり、障害(発達障害を含む)についての印象を7段階で評定するよう求めた。回答者は教職課程を受講の3年生で全3回の集計が可能な34名であった。この中には日時の都合で見学に参加しなかった8名が含まれており、対照群として扱われた。
集計すると、見学後の障害に対するポジティブな印象の有意な増加が見られた。対照群には、同時期の増加は見られず、見学の効果が表れたと考えられた。見学後に施設職員(臨床心理士など)による出張特別授業を設定し、見学不参加者に対しても詳しい説明を与えるようにした。
約2ヵ月後の調査では、ポジティブな評定が減る傾向が顕著に見られる群と、極端な評定の変化のない群が見られた。そこで、こうした評定の変化のしやすさを、形容詞対がもっている要素との関連で比較検討することが必要とされた。
障害イメージ評定の易変性が、どのような要素と関連するのか検討することを目的とし、それをSD法データの解析による方法で行った。

2.結果と考察
形容詞対の全評定で主因子法バリマックス回転による因子分析を行ったところ、5因子が抽出された。このうち「外見的な印象」と命名された第1因子と、他の因子とに分けて、易変性の大きさとの関連を比較検討した。
易変性が大きい群(4名)と易変性が中程度の群(5名)では、因子による差が見られず、見学後(post)から2ヵ月後(follow-up)にかけてポジティブな評定が減った。ところが、易変性が小さい群(3名)では、因子1におけるポジティブな評定は2ヶ月後(follow-up)時に減り、その他の因子においては逆にポジティブな評定が増える傾向を見せた。こうした傾向は、表面的な印象に影響されない自分自身に内在する基準での評定がなされた可能性を示唆している。
障害(者)を理解し、その特性に応じた教育を構想するには、表面的な印象を乗り越えた視点が必要になる。こうした受け止め方のできる教師養成を意識していく必要があると考えられる。