[PE058] 大学生の健康な食生活を送る動機づけと首尾一貫感覚(SOC)との関連
キーワード:食生活, 動機づけ, 首尾一貫感覚
【問題】疾病の一次予防を説明する理論として,疾病生成論と健康生成論といった二つの理論がある。疾病生成論とは,疾病の機序を明らかにし疾病の要因を取り除くことによって健康を維持しようとするとらえ方である。一方,ストレスが健康に影響することが明らかとなってきたことから,疾病生成論だけでは,一次予防対策に限界があるとされてきている。このような背景から,アントノフスキーによって提案された理論が健康生成論である。健康生成論では,ストレス状況下においても健康を維持することのできる性格特性として,首尾一貫感覚(SOC: Sense of Coherence)が見出されている。SOCは,ソーシャル・サポートなどの外的な要因によって強化され,外的要因を動員してストレスに対処するとされている。そして,SOCと実際の健康との間には,有意な関連があることが報告されている。しかし,実際に健康を維持するためにはストレスに対する対処だけではなく,生活習慣そのものが健康的である可能性がある。中でも,食生活習慣は特に健康と強い関連性があることがこれまでの研究からも報告されているが,健康な食生活を送る上での内的な動機づけは,継続的な健康的な食生活習慣の実行につながり,よい健康状態と関連している。本研究では,ソーシャル・サポートとSOCおよび健康な食生活を送る動機づけとの関連性を検討し,ソーシャル・サポートによるSOCの強化が生活習慣のあり方にも関連すると仮定しその関係性について検討することとした。
【方法】大学生164名(男性94名,女性70名)平均年齢19.4±1.2歳を対象に質問紙調査を行った。調査内容はSOC(山崎他,1999)健康な食生活を送る動機づけ(Kato et. al 2013),ソーシャル・サポート(岩佐他,2007),主観的健康感(徳永,2003)であった。
【結果と考察】ソーシャル・サポートとSOCとの関連についてみると,重要な他者および家族からのソーシャル・サーポートはSOCに関連していたが,友人からのソーシャル・サポートは関連していなかった。SOCは,良質な養育環境や人生経験が影響するとされており妥当な結果であると考えられる。また,SOCは健康な食生活を送る動機づけのうち,内的な動機づけと関連していた。以上の点を考慮すると,大学生にとっては,家族からのソーシャル・サポートや重要な他者からのソーシャル・サポートがSOCを育むうえで重要な要因であると考えられる。また,SOCと健康な食生活を送る上での内的動機づけの関連から,SOCの高い者の食生活習慣が良好である背景には,健康な食生活を送る内的な動機づけの高さが存在することが確認できた。さらに,SOCと健康な食生活を送る上での内的動機づけの関連から,SOCの下位項目である「把握可能感」,「処理可能感」,「有意味感」といった感覚は,健康な生活習慣を確立していくうえでも有効な志向であると考えられるが,この点についてはさらなる検討が必要である。
【参考文献】
岩佐 一他 2007 日本語版「ソーシャル・サポート尺度」の信頼性ならびに妥当性‐中高年者を対象とした検討 54 26‐33.
山崎喜比古 1999 健康への新しい見方を理論化した健康生成論と健康保持能力概念SOC.Quality Nursing 5 825‐832.他
科研費(23500945)の助成を受けた。
【方法】大学生164名(男性94名,女性70名)平均年齢19.4±1.2歳を対象に質問紙調査を行った。調査内容はSOC(山崎他,1999)健康な食生活を送る動機づけ(Kato et. al 2013),ソーシャル・サポート(岩佐他,2007),主観的健康感(徳永,2003)であった。
【結果と考察】ソーシャル・サポートとSOCとの関連についてみると,重要な他者および家族からのソーシャル・サーポートはSOCに関連していたが,友人からのソーシャル・サポートは関連していなかった。SOCは,良質な養育環境や人生経験が影響するとされており妥当な結果であると考えられる。また,SOCは健康な食生活を送る動機づけのうち,内的な動機づけと関連していた。以上の点を考慮すると,大学生にとっては,家族からのソーシャル・サポートや重要な他者からのソーシャル・サポートがSOCを育むうえで重要な要因であると考えられる。また,SOCと健康な食生活を送る上での内的動機づけの関連から,SOCの高い者の食生活習慣が良好である背景には,健康な食生活を送る内的な動機づけの高さが存在することが確認できた。さらに,SOCと健康な食生活を送る上での内的動機づけの関連から,SOCの下位項目である「把握可能感」,「処理可能感」,「有意味感」といった感覚は,健康な生活習慣を確立していくうえでも有効な志向であると考えられるが,この点についてはさらなる検討が必要である。
【参考文献】
岩佐 一他 2007 日本語版「ソーシャル・サポート尺度」の信頼性ならびに妥当性‐中高年者を対象とした検討 54 26‐33.
山崎喜比古 1999 健康への新しい見方を理論化した健康生成論と健康保持能力概念SOC.Quality Nursing 5 825‐832.他
科研費(23500945)の助成を受けた。