[PG007] キャリア教育で育成される諸能力と中学生の主体的進路選択との関連
Keywords:キャリア教育, 中学生, 基礎的・汎用的能力
目 的
『中学校キャリア教育の手引き』(文部科学省,2011)が示すとおり,学校現場では「基礎的・汎用的能力」という枠組みで個々のキャリア発達を促す実践が展開されている。しかし,中学校では進路選択の指標として学業成績を重視する傾向も依然として強く,キャリア教育によって育成される基礎的・汎用的能力や体験的な学習を通して育成される自己肯定感,自己効力といった諸能力と主体的な進路選択との関連が見出せているとは言いがたい。そこで本研究は,中学生を対象にキャリア教育で育成される基礎的・汎用的能力,及び自己肯定感,進路選択自己効力が主体的な進路選択にどのように影響しているのかを検討した。
方 法
[調査対象者] 鹿児島県内の公立中学校,3年生233名(男子128名,女子105名)から回答を得た。
[調査時期・調査方法] 2014年2月
[質問項目及び使用した尺度]
① 基礎的・汎用的能力 『中学校キャリア教育の手引き』(2011,p64)「キャリア教育アンケートの一例」をもとに作成した。16項目(4件法)
② 進路選択自己効力 長谷川(1995)を参考に松井,奈良井(2000)が一部修正した「進路選択に対する自己効力」尺度を使用した。15項目(5件法)
③ 自己肯定感 ローゼンバーグ(Rosenberg,M.1965)の和訳(星野,1970)を松井,佐藤(2000)が一部修正した「自己肯定感」を使用した。7項目(4件法)
④ 主体的進路選択 「自分の意思で進路先を決定することができた」,「自分の責任で進路先を決定することができた」,「自信を持って進路先を決定することができた」の3項目。(「できた」~「できなかった」の4件法)
⑤ 他者との進路相談重要視傾向 「進路先を決めるにあたって,他者との話し合いがどれくらい重要でしたか」保護者,担任,友人の3項目。(「重要でない」〜「重要である」の4件法)
結果と考察
尺度構成 ①基礎的・汎用的能力 因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い,4因子を抽出した。因子負荷量が.40未満の項目を削除し「キャリアプランニング能力」(α=.82)「人間関係形成能力」(α=.65)「課題対応能力」(α=.68)「自己管理能力」(α=.70)とした。
②進路選択自己効力 因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い因子の抽出を行った。固有値を検討した
ところ,第1固有値(6.86)から第2固有値(1.29)への減衰傾向が著しいことから,1因子構造が適当と判断した。α係数を算出した結果,.91であり,尺度の内的一貫性が高いことが確認できた。
③自己肯定感 因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い,1因子(α=.86)を抽出した。
クラスタ分析 ⑤他者との進路相談重要視傾向についてクラスタ分析(word法)を行った。クラスタ解釈の明瞭さから「友人相談相対低群」,「保護者,担任相対低群」,「全他者相対高群」の3クラスタを見いだした。
重回帰分析 3年生全員及び,他者との進路相談重要視傾向で見いだした3クラスタを分析対象とし重回帰分析(強制投入法)を行った。本稿では3年生全員を対象にした分析結果について報告する。はじめに進路自己効力を従属変数,基礎的・汎用的能力の下位尺度および自己肯定感を独立変数とする重回帰分析を行った(Fig.1)。次に主体的進路選択(3項目)を従属変数,進路自己効力を独立変数とし重回帰分析を行った(Fig.2)。Fig.1より,キャリアプランニング能力と自己肯定感が進路選択自己効力を高めることが明らかになった。Fig.2より,進路選択自己効力は,主体的進路選択3項目それぞれに寄与することが明らかとなった。このことから,基礎的・汎用的能力,自己肯定感は進路選択自己効力を介し主体的進路選択に間接的に影響を及ぼすものと考える。
『中学校キャリア教育の手引き』(文部科学省,2011)が示すとおり,学校現場では「基礎的・汎用的能力」という枠組みで個々のキャリア発達を促す実践が展開されている。しかし,中学校では進路選択の指標として学業成績を重視する傾向も依然として強く,キャリア教育によって育成される基礎的・汎用的能力や体験的な学習を通して育成される自己肯定感,自己効力といった諸能力と主体的な進路選択との関連が見出せているとは言いがたい。そこで本研究は,中学生を対象にキャリア教育で育成される基礎的・汎用的能力,及び自己肯定感,進路選択自己効力が主体的な進路選択にどのように影響しているのかを検討した。
方 法
[調査対象者] 鹿児島県内の公立中学校,3年生233名(男子128名,女子105名)から回答を得た。
[調査時期・調査方法] 2014年2月
[質問項目及び使用した尺度]
① 基礎的・汎用的能力 『中学校キャリア教育の手引き』(2011,p64)「キャリア教育アンケートの一例」をもとに作成した。16項目(4件法)
② 進路選択自己効力 長谷川(1995)を参考に松井,奈良井(2000)が一部修正した「進路選択に対する自己効力」尺度を使用した。15項目(5件法)
③ 自己肯定感 ローゼンバーグ(Rosenberg,M.1965)の和訳(星野,1970)を松井,佐藤(2000)が一部修正した「自己肯定感」を使用した。7項目(4件法)
④ 主体的進路選択 「自分の意思で進路先を決定することができた」,「自分の責任で進路先を決定することができた」,「自信を持って進路先を決定することができた」の3項目。(「できた」~「できなかった」の4件法)
⑤ 他者との進路相談重要視傾向 「進路先を決めるにあたって,他者との話し合いがどれくらい重要でしたか」保護者,担任,友人の3項目。(「重要でない」〜「重要である」の4件法)
結果と考察
尺度構成 ①基礎的・汎用的能力 因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い,4因子を抽出した。因子負荷量が.40未満の項目を削除し「キャリアプランニング能力」(α=.82)「人間関係形成能力」(α=.65)「課題対応能力」(α=.68)「自己管理能力」(α=.70)とした。
②進路選択自己効力 因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い因子の抽出を行った。固有値を検討した
ところ,第1固有値(6.86)から第2固有値(1.29)への減衰傾向が著しいことから,1因子構造が適当と判断した。α係数を算出した結果,.91であり,尺度の内的一貫性が高いことが確認できた。
③自己肯定感 因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行い,1因子(α=.86)を抽出した。
クラスタ分析 ⑤他者との進路相談重要視傾向についてクラスタ分析(word法)を行った。クラスタ解釈の明瞭さから「友人相談相対低群」,「保護者,担任相対低群」,「全他者相対高群」の3クラスタを見いだした。
重回帰分析 3年生全員及び,他者との進路相談重要視傾向で見いだした3クラスタを分析対象とし重回帰分析(強制投入法)を行った。本稿では3年生全員を対象にした分析結果について報告する。はじめに進路自己効力を従属変数,基礎的・汎用的能力の下位尺度および自己肯定感を独立変数とする重回帰分析を行った(Fig.1)。次に主体的進路選択(3項目)を従属変数,進路自己効力を独立変数とし重回帰分析を行った(Fig.2)。Fig.1より,キャリアプランニング能力と自己肯定感が進路選択自己効力を高めることが明らかになった。Fig.2より,進路選択自己効力は,主体的進路選択3項目それぞれに寄与することが明らかとなった。このことから,基礎的・汎用的能力,自己肯定感は進路選択自己効力を介し主体的進路選択に間接的に影響を及ぼすものと考える。