[PB07] 青年の地域援助活動と発達との関連性
大学生の地域住民との交流についての質的検討
Keywords:青年と中高年の交流, 地域ボランティア, 青年期の発達
問題と目的 青年が,他者との関係の中でアイデンティティを獲得していく場は,地域がひとつの役割を担っていた。地域の中高年者たちが青年を様々な地域活動に誘い,社会責務や連帯感等を学ばせていた。そして現代もなお,子どもの頃の自然体験や友だちとの遊び,地域活動などの生活体験が,成人以降の意欲や規範意識などと関連することが報告されており(平成23年度版子ども・若者白書),青年期の日常生活体験と青年の発達課題達成との関連が示唆される。それは,情報技術の発達により,青年のコミュニケーション,情報伝達の仕方が,スマホやPCなどによる間接的なものになり,人と人とが触れ合う直接体験が欠落しがちであることが大きな背景となる。このような現代の状況では,「地域住民との交流」といった直接体験がアイデンティティの獲得に特に意味を持つことは間違いないことである。
本研究では,筆者のボランティアの募集に応じた学生を,事前面接で性格特性等を捉えながら,地域の青少年健全育成団体の活動に9カ月間参加してもらい,それを運営する地域住民との間にどのような交流が生じ,そこから何を学び,自分自身をどう変化させていったかを観察法と面接法により明らかにする。
方 法 (研究対象者)大学学部1年生1名3年生5名。(活動期間)平成X年6月~平成X+1年2月。(活動先と活動内容 参与観察)学生たちは,大学近郊の青少年健全育成団体(青少年問題協議会A地区委員会またはB地区委員会)の活動ならびに,その団体が協賛する地域のお祭りや運動会に,準備から本番,反省会と一連の活動に参加し,取りまとめ役の住民や参加者の住民たちと交流した。筆者は,学生と共にそれらの活動に参加しながら,学生の様子を観察した。
(面接調査と分析方法)学生に事前面接を行い,参加動機,ボランティア歴,異世代との交流歴や親しみ感,本人の性格などを聞いた。活動中は,約2か月に1度面接を行い,活動の具体的内容と感想,地域住民との交流,これからの参加意欲を聞き取った。行事で子どもたちと交流があった場合は,その詳細も聞き取った。活動終了後には,活動開始前の面接内容も踏まえながら,ボランティアの感想,自分自身が変化したことやその理由を聞いた。データは,グランデッド・セオリー・アプローチに準じながら,カテゴリーにまとめ,相互の関連性を検討し,青年が地域住民との交流で変化したプロセスの図式化を試みた。
結果と考察 結果を以下の図に示す。学生は地域活動に際し,「自分とは何か」,「自立志向」,「親密な友人関係の形成」など,青年期ならではの目的を持って参加し,その中で慣れない場に悩んだり戸惑ったりしながらも,地域住民に見守られながら共に活動をすることで,様々な体験を積み重ねた。それは「ダイナミック」であったり,「親密」であったり,「気が置けない」体験であった。その中で青年は,青年期のテーマである「自分とは」という課題に改めて取り組み,親と向き合うことや,新しいことに取り組むなどの役割実験を行いながら,将来に向けてのいくつかのモデルを見出していったことが伺われた。一方,青年が中高年世代と,異なる価値観をどのように折り合いをつけていくかが課題となった。今回の研究で学生にボランティアを紹介し,その様子を一定の距離で見守った筆者のような存在が,解決の仲介者の一人として役割を果たす可能性があると思われる。
本研究では,筆者のボランティアの募集に応じた学生を,事前面接で性格特性等を捉えながら,地域の青少年健全育成団体の活動に9カ月間参加してもらい,それを運営する地域住民との間にどのような交流が生じ,そこから何を学び,自分自身をどう変化させていったかを観察法と面接法により明らかにする。
方 法 (研究対象者)大学学部1年生1名3年生5名。(活動期間)平成X年6月~平成X+1年2月。(活動先と活動内容 参与観察)学生たちは,大学近郊の青少年健全育成団体(青少年問題協議会A地区委員会またはB地区委員会)の活動ならびに,その団体が協賛する地域のお祭りや運動会に,準備から本番,反省会と一連の活動に参加し,取りまとめ役の住民や参加者の住民たちと交流した。筆者は,学生と共にそれらの活動に参加しながら,学生の様子を観察した。
(面接調査と分析方法)学生に事前面接を行い,参加動機,ボランティア歴,異世代との交流歴や親しみ感,本人の性格などを聞いた。活動中は,約2か月に1度面接を行い,活動の具体的内容と感想,地域住民との交流,これからの参加意欲を聞き取った。行事で子どもたちと交流があった場合は,その詳細も聞き取った。活動終了後には,活動開始前の面接内容も踏まえながら,ボランティアの感想,自分自身が変化したことやその理由を聞いた。データは,グランデッド・セオリー・アプローチに準じながら,カテゴリーにまとめ,相互の関連性を検討し,青年が地域住民との交流で変化したプロセスの図式化を試みた。
結果と考察 結果を以下の図に示す。学生は地域活動に際し,「自分とは何か」,「自立志向」,「親密な友人関係の形成」など,青年期ならではの目的を持って参加し,その中で慣れない場に悩んだり戸惑ったりしながらも,地域住民に見守られながら共に活動をすることで,様々な体験を積み重ねた。それは「ダイナミック」であったり,「親密」であったり,「気が置けない」体験であった。その中で青年は,青年期のテーマである「自分とは」という課題に改めて取り組み,親と向き合うことや,新しいことに取り組むなどの役割実験を行いながら,将来に向けてのいくつかのモデルを見出していったことが伺われた。一方,青年が中高年世代と,異なる価値観をどのように折り合いをつけていくかが課題となった。今回の研究で学生にボランティアを紹介し,その様子を一定の距離で見守った筆者のような存在が,解決の仲介者の一人として役割を果たす可能性があると思われる。