The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB(01-64)

ポスター発表 PB(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PB63] いじめの実態と加害者の特徴

加害者の教師との関係に注目して

加藤弘通1, 太田正義2, 水野君平3 (1.北海道大学, 2.常葉大学, 3.北海道大学)

Keywords:いじめ, 加害者, 実態調査

問   題
 いじめの問題を理解し対応策を考えていくためには,まずその実態の把握が肝要である。そのために様々な側面から情報を収集する必要性が指摘されている(Cornell & Bandyopadhyay, 2009; Furlong, Sharkey, Felix, Tanigawa, & Green, 2009)。そこで本研究では,被害者,加害者,目撃者という視点からいじめ被害の実態について明らかにする。いじめに対して教師がとりうる対応策という視点から,いじめ加害者と教師との関係について検討する。それにより教師との関係におけるいじめ加害者の特徴を明らかにするとともに,教師がいじめに対してとりうる対応策を検討することが目的である。
方   法
調査協力者 X県Y市公立小中学校の児童生徒41,089人(男子20,782人,女子19,629人;通常級40,411人,支援級632人)。
調査内容 ①いじめ いじめについて物理的,言語的,関係的暴力の3カテゴリーに関する計8項目について,被害・加害・目撃経験を「ある・なし」の2件法でたずねた。
②教師との関係 大久保・青柳(2004)を使用し5件法で回答を求めた。
手続き 自宅で回答し封筒に入れ厳封のうえ回収した。
結果と考察
(1) いじめの実態 いじめ被害率については学年が上がるにつれて減少する傾向が見られ,いくつかの研究(国立教育政策研究所生徒指導・進路指導センター, 2014)が指摘しているとおり「中1ギャップ」は見られなかった。
(2) いじめ加害者と教師の関係 いじめ加害の経験の特徴を検討するため,加害の有無(2)×校種(2)で教師との関係について分散分析を行ったところ,通常級では加害の有無と校種で差がみられ(F(1,38263)=992.93, p=.00, η2=.03; F(1,38263)=1383.45, p=.00, η2=.04),支援級では加害の有無のみで差がみられた(F(1,575)=9.17, p=.00, η2=.02)。つまり,通常級ではいじめ加害生徒のほうが教師との関係が悪く,また小学生よりも中学生のほうが悪い。さらに支援級でも,いじめ加害をする生徒は教師との関係が悪いが,小学校と中学校でその違いはないことが分かる。以上からいじめ加害には教師との関係悪さが関係していることが考えられる。