13:30 〜 15:30
[PE08] 音楽的早期教育が幼児の歌唱能力と認知機能に及ぼす影響について
AIRS歌唱能力テスト子ども用改訂版の評価による検討
キーワード:歌唱能力, 時空間認知機能, 音楽的早期教育
目 的
音楽的早期教育は幼児の歌唱発達に影響を与え(安達, 2000),時空間認知機能を高める(Rauscher, & Zupan, 2000)と報告がある。本研究は,歌唱能力に関するサブスキルを総合的に測定するための指標として国際共同研究で開発された〝AIRS Test Battery of Singing Skills for Children-Revised〞(AIRS歌唱能力テスト子ども用改訂版) を用いて,音楽的早期教育が幼児の歌唱能力と認知機能に及ぼす影響について検討する。
方 法
対象者:幼稚園・保育園の年中年長の幼児90名(4歳2ヵ月~6歳10ヵ月,M = 5.16,SD = 0.67,うち男児46名)とその母親90名。
調査項目:家庭環境調査票,AIRS歌唱能力テストより13課題(声域,音程パターンの正確性,旋律・周知の歌の再生など),「新版K発達検査2001」認
知・適応より,時空間認知課題の「玉つなぎ」「5個の積み木叩き」と二次元パターンの「菱形模写」の3課題。
手続き:子どもは幼稚園・保育園の個室でAIRS歌唱能テストと認知テストを実施し,母親は自宅で家庭環境調査票を記入した。
データ分析:家庭環境調査票から過去と現在の音楽的早期教育歴を0点~6点の間で得点化し,0点を音楽的早期教育無群,1点以上を音楽的早期教育群(M = 1.21,SD = 1.69)とした。AIRS歌唱能力テストはサブスキルごとに評価し(小椋・安達,2017),認知テストは検査得点と課題処理能力得点(小椋,2016)を算出した。AIRS歌唱能力テストの評価の信頼性は以下のように検討した。対象児の15%(14名)に対して2名の音楽熟達者がAIRS歌唱能力テストを評価し,13課題の各合計点(rss =.95-1.00),計62の下位項目(rss =.71-1.00)ともに,高い相関と内的整合性(クロンバックのα 係数,α =.94)が認められた。
結 果
音楽的早期教育有無について,ブートストラップ法によるt 検定を行った。その結果,「三度音程パターンⅠの復唱の開始音」と「同課題合計得点」の項目において,音楽的早期教育有群 (n = 33,M = 5.13歳, SD = 0.70) 音楽的早期教育無群(n = 57,M = 5.17歳, SD = 0.66) の間に有意差があった(Table1)。
「5個の積み木叩き」の課題処理能力 において 音楽的早期教育有群と音楽的早期教育無群の間に有意差があった(Table 2)。検査得点に関しては群間に差は見られなかった。
考 察
音楽的早期教育は三度音程から成るパターンの再生と開始音の正確性の向上が確認できたことから、歌唱能力の中でも音高の正確性に影響を与えることが窺われる。また,音楽的早期教育を受けていると,一部の時空間認知課題をより正確に遂行できることが示唆された。
引用文献
安達真由美(2000).ヴィゴツキー理論と音楽的発達.音楽心理学音楽療法年報, 29, 13-19.
小椋佐奈衣(2016).幼児の歌唱能力を規定する要因の解明:音楽的経験と認知機能との関連性の検討. 北海道大学大学院 研究論文1.
小椋佐奈衣・安達真由美(2017).AIRS歌唱能力テスト子ども用改訂版の評価によるサブスキルの関連性の検討(投稿準備中).
.Rauscher, F. H. , & Zupan, M. A. (2000). Classroom keyboard instrnctions improve kindetgarten children❜s spatial-temporol performance: A field experiment. Eary Childhood Rsesarch Quartely, 15, 215-228.
音楽的早期教育は幼児の歌唱発達に影響を与え(安達, 2000),時空間認知機能を高める(Rauscher, & Zupan, 2000)と報告がある。本研究は,歌唱能力に関するサブスキルを総合的に測定するための指標として国際共同研究で開発された〝AIRS Test Battery of Singing Skills for Children-Revised〞(AIRS歌唱能力テスト子ども用改訂版) を用いて,音楽的早期教育が幼児の歌唱能力と認知機能に及ぼす影響について検討する。
方 法
対象者:幼稚園・保育園の年中年長の幼児90名(4歳2ヵ月~6歳10ヵ月,M = 5.16,SD = 0.67,うち男児46名)とその母親90名。
調査項目:家庭環境調査票,AIRS歌唱能力テストより13課題(声域,音程パターンの正確性,旋律・周知の歌の再生など),「新版K発達検査2001」認
知・適応より,時空間認知課題の「玉つなぎ」「5個の積み木叩き」と二次元パターンの「菱形模写」の3課題。
手続き:子どもは幼稚園・保育園の個室でAIRS歌唱能テストと認知テストを実施し,母親は自宅で家庭環境調査票を記入した。
データ分析:家庭環境調査票から過去と現在の音楽的早期教育歴を0点~6点の間で得点化し,0点を音楽的早期教育無群,1点以上を音楽的早期教育群(M = 1.21,SD = 1.69)とした。AIRS歌唱能力テストはサブスキルごとに評価し(小椋・安達,2017),認知テストは検査得点と課題処理能力得点(小椋,2016)を算出した。AIRS歌唱能力テストの評価の信頼性は以下のように検討した。対象児の15%(14名)に対して2名の音楽熟達者がAIRS歌唱能力テストを評価し,13課題の各合計点(rss =.95-1.00),計62の下位項目(rss =.71-1.00)ともに,高い相関と内的整合性(クロンバックのα 係数,α =.94)が認められた。
結 果
音楽的早期教育有無について,ブートストラップ法によるt 検定を行った。その結果,「三度音程パターンⅠの復唱の開始音」と「同課題合計得点」の項目において,音楽的早期教育有群 (n = 33,M = 5.13歳, SD = 0.70) 音楽的早期教育無群(n = 57,M = 5.17歳, SD = 0.66) の間に有意差があった(Table1)。
「5個の積み木叩き」の課題処理能力 において 音楽的早期教育有群と音楽的早期教育無群の間に有意差があった(Table 2)。検査得点に関しては群間に差は見られなかった。
考 察
音楽的早期教育は三度音程から成るパターンの再生と開始音の正確性の向上が確認できたことから、歌唱能力の中でも音高の正確性に影響を与えることが窺われる。また,音楽的早期教育を受けていると,一部の時空間認知課題をより正確に遂行できることが示唆された。
引用文献
安達真由美(2000).ヴィゴツキー理論と音楽的発達.音楽心理学音楽療法年報, 29, 13-19.
小椋佐奈衣(2016).幼児の歌唱能力を規定する要因の解明:音楽的経験と認知機能との関連性の検討. 北海道大学大学院 研究論文1.
小椋佐奈衣・安達真由美(2017).AIRS歌唱能力テスト子ども用改訂版の評価によるサブスキルの関連性の検討(投稿準備中).
.Rauscher, F. H. , & Zupan, M. A. (2000). Classroom keyboard instrnctions improve kindetgarten children❜s spatial-temporol performance: A field experiment. Eary Childhood Rsesarch Quartely, 15, 215-228.