4:00 PM - 6:00 PM
[PF37] 幼少期からの興味関心の推移と理科の学習における関係
小・中学生の回顧調査から
Keywords:理科離れ, 興味関心, 理科的事象
目 的
国内外における様々な学習調査において,日本の生徒の理科離れが指摘されている。理科学習に対する意欲が低いなどの課題が浮き彫りとなり,理科離れを探るための研究が盛んに行われている。本研究でも理科離れ解決の糸口を模索する一つの方法として,小学生と中学生の現在の理科の好き嫌いが幼少期の興味関心とどのように関係しているのかを検討する。理科の好き嫌いと幼少期の興味関心の関係を明らかにすることは,理科好きの子どもに育ってほしいと思うとき,幼少期の子どもにどのように働きかけるかを考える一つの手がかりとなるであろう。幼少期の興味関心は,理科ではなく理科的事象とし,幼少期に興味を抱きやすいと想定される植物・動物・機械・虫・天体に限定することにした。
方 法
【調査対象者】関東地方にある 3つの小学校の5・6年生334名(女子:160,男子:174)と1つの中学校の1・2・3年生287名(女子:149,男子:138)【調査時期】2016年7月【調査方法】質問紙調査1.幼少期の興味関心についての質問(5項目4件法)。幼少期を振り返り,植物・動物・機械・虫・天体の領域に対しての興味関心の程度を「全く興味がない~非常に興味がある」の4段階で回答してもらった2.現在の興味関心についての質問(5項目4件法)。1と同様に,現在の興味関心の程度を回答してもらった。3. 現在の理科の好き嫌いについての質問。小学生は2件法,中学生は1分野・2分野についてそれぞれ「当てはまらない~当てはまる」の4件法で回答してもらった。本調査は聖徳大学ヒューマンスタディに関する倫理委員会の承諾を得て行われた。事前に学校経由で保護者に調査の趣旨を説明し,同意を得たうえで行った。質問紙は担任に配布と回収を依頼した。
結 果
幼少期と現在の植物・動物・機械・虫・天体への興味関心の相関について,同項目において,小学生はr=.437~.599,中学生はr=.452~.566の中程度の相関が見られた。Table1・2は植物・動物・機械・虫・天体への興味関心の幼少期から現在における変化の割合を示したものである。(幼少期→現在で表記)
項目によって興味関心の変化に違いがあるのかを見るために,変化のあった群のみを抜き出し,マクネマー検定(両側検定)を行った。小学生は植物p=.0000,機械p=.0000,天体p=. 0000において有意差が見られ,幼少期に興味がなかったが,現在においては興味を持つようになった者が有意に多いことが分かった。中学生は全ての項目において有意差が見られた。植物p=.0056,動物p=.0007 ,機械p=.0000,天体p=.0000は現在において興味を持つようになった者が多く,虫p=.0079は幼少期にくらべて興味を失った者が多いことが明らかとなった。
幼少期の興味関心と理科の好きな程度の相関はTable3・4の通りである。
小学生は植物と動物において相関がみられた。中学生では,全ての項目において相関が得られた。特に,1分野の好きな程度と幼少期の機械への興味関心は中程度の相関であった。
考 察
幼少期と現在の興味関心について,同項目の相関が強いことから,幼少期から現在にかけて,興味関心が維持されていることが示唆された。表1・2で変化なしが半数以上であることから,それを裏付けていることが分かる。
幼少期の興味関心と理科の好きの程度について,小学生の回答で相関がみられたのは植物と動物のみであったが,中学生は全ての項目において1分野と2分野の好き嫌いとの間に相関関係が見られた。このことから,幼少期の理科的事象への興味関心は小学生よりも中学生になってからの理科という教科の好き嫌いに関係することが推察され,特に1分野と機械はその傾向が強いことが示唆された。
国内外における様々な学習調査において,日本の生徒の理科離れが指摘されている。理科学習に対する意欲が低いなどの課題が浮き彫りとなり,理科離れを探るための研究が盛んに行われている。本研究でも理科離れ解決の糸口を模索する一つの方法として,小学生と中学生の現在の理科の好き嫌いが幼少期の興味関心とどのように関係しているのかを検討する。理科の好き嫌いと幼少期の興味関心の関係を明らかにすることは,理科好きの子どもに育ってほしいと思うとき,幼少期の子どもにどのように働きかけるかを考える一つの手がかりとなるであろう。幼少期の興味関心は,理科ではなく理科的事象とし,幼少期に興味を抱きやすいと想定される植物・動物・機械・虫・天体に限定することにした。
方 法
【調査対象者】関東地方にある 3つの小学校の5・6年生334名(女子:160,男子:174)と1つの中学校の1・2・3年生287名(女子:149,男子:138)【調査時期】2016年7月【調査方法】質問紙調査1.幼少期の興味関心についての質問(5項目4件法)。幼少期を振り返り,植物・動物・機械・虫・天体の領域に対しての興味関心の程度を「全く興味がない~非常に興味がある」の4段階で回答してもらった2.現在の興味関心についての質問(5項目4件法)。1と同様に,現在の興味関心の程度を回答してもらった。3. 現在の理科の好き嫌いについての質問。小学生は2件法,中学生は1分野・2分野についてそれぞれ「当てはまらない~当てはまる」の4件法で回答してもらった。本調査は聖徳大学ヒューマンスタディに関する倫理委員会の承諾を得て行われた。事前に学校経由で保護者に調査の趣旨を説明し,同意を得たうえで行った。質問紙は担任に配布と回収を依頼した。
結 果
幼少期と現在の植物・動物・機械・虫・天体への興味関心の相関について,同項目において,小学生はr=.437~.599,中学生はr=.452~.566の中程度の相関が見られた。Table1・2は植物・動物・機械・虫・天体への興味関心の幼少期から現在における変化の割合を示したものである。(幼少期→現在で表記)
項目によって興味関心の変化に違いがあるのかを見るために,変化のあった群のみを抜き出し,マクネマー検定(両側検定)を行った。小学生は植物p=.0000,機械p=.0000,天体p=. 0000において有意差が見られ,幼少期に興味がなかったが,現在においては興味を持つようになった者が有意に多いことが分かった。中学生は全ての項目において有意差が見られた。植物p=.0056,動物p=.0007 ,機械p=.0000,天体p=.0000は現在において興味を持つようになった者が多く,虫p=.0079は幼少期にくらべて興味を失った者が多いことが明らかとなった。
幼少期の興味関心と理科の好きな程度の相関はTable3・4の通りである。
小学生は植物と動物において相関がみられた。中学生では,全ての項目において相関が得られた。特に,1分野の好きな程度と幼少期の機械への興味関心は中程度の相関であった。
考 察
幼少期と現在の興味関心について,同項目の相関が強いことから,幼少期から現在にかけて,興味関心が維持されていることが示唆された。表1・2で変化なしが半数以上であることから,それを裏付けていることが分かる。
幼少期の興味関心と理科の好きの程度について,小学生の回答で相関がみられたのは植物と動物のみであったが,中学生は全ての項目において1分野と2分野の好き嫌いとの間に相関関係が見られた。このことから,幼少期の理科的事象への興味関心は小学生よりも中学生になってからの理科という教科の好き嫌いに関係することが推察され,特に1分野と機械はその傾向が強いことが示唆された。