The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PG(01-81)

ポスター発表 PG(01-81)

Mon. Oct 9, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PG11] 打楽器による幼児の感情表現における音量の変化

神田まほろ1, 島義弘2, 大坪治彦3 (1.鹿児島大学大学院, 2.鹿児島大学, 3.鹿児島大学)

Keywords:幼児, 感情表現, 打楽器

目   的
 幼児期のリズム知覚の発達として,音楽に合わせて動くなどの同調行動ができるようになるとされている。持橋(2003)の研究より,3歳児から5歳児でもリズム同期を行うことができることが示されている。加えて,山崎(2004)より,5,6歳の幼児においても「楽しい」「悲しい」「怒った」という基本的な感情を理解して,「怒った」と「悲しい」感情については区別をして打楽器を用いて演奏をすることができ,感情が音量と打間時間に影響を及ぼしていることが分かった。本研究では,持橋(2003)より3歳児もリズムを同期することができることから,3歳児も5歳児や6歳児と同様に感情によって打楽器を用いて音量を変化させることができるのか検討した。
方   法
〈実験参加者〉A県内の幼稚園に通う年少児16名(平均年齢4歳4ヶ月,男子8名,女子8名),年長児16名(平均年齢6歳3ヶ月,男子8名,女子8名)の計32名。
〈実験場所・装置〉実験は,幼稚園内の空室で1人ずつ約10分~15分椅子に座った状態で幼児の正面に電子パーカッション(ROLAND RMP-5A)を設置して,録音を行った。録音は,電子パーカッションからの出力をICレコーダー(OLYMPUS Voice-Trek V-842)に入力して行った。
〈実験手続き〉まず,実験参加者が「楽しい」「悲しい」「怒った」という3つの感情を理解していることを確かめるために,実験参加者に「楽しい顔」「悲しい顔」「怒った顔」を表す3種類の線画でのお面をランダムな順序で示し,それぞれの感情を表しているのはどの顔であるか指をさしてもらうように求めた。電子パーカッションを叩くときの注意点を説明したあと,約10秒間自由に叩くように指示をした。その後,幼児に線画のお面をつけてもらい,「『楽しい』ときはどんな風に叩くか教えてね」などと教示をして,電子パーカッションを叩くように求めた。3つの感情の順序は,実験参加者ごとにランダマイズした。
結果と考察
 それぞれの感情に音の大きさに変化をつけているかどうか検討した(Figure1)。各感情間における最大-最小の音の大きさ(dB(A))の差について,年齢(2)×感情(3)の分散分析を行ったところ,感情の主効果が有意(F(2,58)=8.82,p<.05),交互作用が有意傾向であった(F(2,58)=4.43,p<.10)。単純主効果検定の結果,「悲しい」感情における年齢の単純主効果(F(1,87)=4.07,p<.01),年長児における感情の単純主効果(F(2,58)=12.84,p<.01)が有意であった。年長児における感情の効果の多重比較の結果,「悲しい」感情,「楽しい」感情,「怒った」感情の順で最大と最小の音の大きさの差を変化させていることがわかった。年長児は「怒った」感情では音の大きさの幅を大きくして,「悲しい」感情では音量の幅を小さくしていることが示された。
 加えて,それぞれの感情において叩いた数に差があるかどうかを検討した(Figure2)。年齢(2)×感情(3)の分散分析を行ったところ,有意な主効果,交互作用が得られなかった。
 以上のことから,3歳でもリズム同期はできるが、打楽器による感情表現の音量の変化は5歳児や6歳児からであり,山崎(2004)と同様の結果となった。