日本教育心理学会第59回総会

講演情報

ハラスメント防止委員会企画 講演 

ハラスメント被害者の心理的回復

2017年10月8日(日) 13:30 〜 15:30 白鳥ホールA (4号館1階)

講師:小西聖子#(武蔵野女子大学)
指定討論:金子雅臣#(職場のハラスメント研究所)
司会:大塚雄作(大学入試センター)

13:30 〜 15:30

[harass01] ハラスメント被害者の心理的回復

小西聖子#1, 金子雅臣#2, 大塚雄作3 (1.武蔵野大学, 2.職場のハラスメント研究所, 3.独立行政法人 大学入試センター)

キーワード:心理的回復, ハラスメント被害, 回復のための支援

 ハラスメント防止委員会企画講演およびシンポジウムも7回目を迎え,ハラスメントの問題は,その発生から状況の深刻化の過程,調査・調停等の対処のあり方,さらに,被害者の回復に関わる対応に至るまで,実にさまざまな課題が背後に複雑に絡み合いつつ潜んでいることが,私どもの学会においても少しずつ共有されてきました。
 そのなかで,ハラスメント被害を受けた人の回復に向けてどのように支援をしていくことが望まれるのかという課題は,ハラスメントに関わる調停等が決着しさえすれば往々にして見過ごされがちになりますが,むしろ調停の決着に増して難しさもあり,そこを避けてハラスメント問題の解決はあり得ない重要な課題の一つでもあります。ハラスメント被害を受けた人はすぐには元通りに戻ることは難しく,回復に関わる課題は想像以上に難題であるということを,まずは共有しておくことが肝要です。
 そこで,ハラスメント防止委員会では,被害を受けた人が回復するためにどのようなことに留意する必要があるのか,また,その周囲にいる人たちがどのようなことができるのかといったことを考える機会を,本総会において企画することにいたしました。幸いにも,DV,性暴力被害者などを中心に,大学研究室や職員などの被害も含めて,ハラスメント被害者の臨床経験を豊富に持たれている,この領域の日本の代表者でもある小西聖子先生にお越しいただけることができました。小西先生には,ハラスメント被害を受けた人をどう支援するか,被害からの回復の道筋と支援のあり方等について,事例を交えてお話しいただくよう,お願いしております。それに続きまして,これまでのハラスメント防止委員会企画の講演会のすべてに関わって下さっており,また,専門委員として委員会にもご助言をいただいてきております金子雅臣先生より,今までの学会での議論の経緯も踏まえて,指定討論をいただき,フロアを交えて,質疑応答,意見交換の場としたいと思います。

講師プロフィール
 小西聖子(こにし たかこ)
 愛知県出身。武蔵野大学人間関係学部教授。精神科医,臨床心理士,医学博士(1992年筑波大学)。東京大学教育学部教育心理学科卒。筑波大学医学専門学群卒,筑波大学大学院博士課程修了。犯罪被害者等施策推進会議委員,犯罪被害者等基本計画検討会構成員,内閣府男女共同参画会議議員,専門部会委員などを歴任。主な著書として,「犯罪被害者の心の傷(白水社)」,「犯罪被害者のメンタルヘルス(編著・誠信書房)」「性暴力被害者への支援(編著・誠信書房)」など。日本トラウマティックストレス学会,日本犯罪学会,日本被害者学会,日本司法精神医学会各理事。第20回エイボン女性年度賞・教育賞,平成22年毎日書評賞,平成26年犯罪学会賞受賞。