[PB48] 看護実習における教員によるフィードバックの効果
キーワード:Nursing Practicum, Feedback, College Students of Nursing
目 的
看護実習において,教員の関わりが学生に与える影響は大きく(小林,2005; 中村,2003),教員のフィードバックは学生の意欲に強く影響することが示されている(小山,2008; 霜田・小林・杉山,2005; 山科,2007)。しかし,これまでの研究では,実習の評価や実習で困った場面についてのみ調べられていたり,実習の一部領域についてのみ調べられていたりしたため,実習全体としてはどのようにフィードバックが学生に影響しているのかは明らかではない。本研究では,看護実習全体について,教員のフィードバックによる学生の気持ちの変化や行動への影響を明らかにすることとした。
方 法
調査対象:看護学部の大学4年生44名(男性1名,女性43名)。平均年齢21.86歳(SD=1.27)。
調査内容:以下の質問項目を含む質問紙を作成した。
1.実習における気持ちの落ち込みや意欲の高まりの程度
(1)気持ちが落ち込んだ時の頻度,(2)気持ちが前向きになったり,意欲がさらに高まったりした時の頻度,(3)教員のフィードバックにより,気持ちが落ち込んだ時の頻度,(4)教員のフィードバックにより,気持ちが前向きになったり,意欲がさらに高まったりした時の頻度
2.教員のフィードバックにより,最も気持ちが落ち込んだ時
(1)実習時期,(2)場面,(3)フィードバックの内容や詳しい状況,(4)その時の気持ち,(5)その後の気持ちの変化や行動への影響
3.教員のフィードバックにより、最も気持ちが前向きになったり,意欲がさらに高まったりした時
(1)実習時期,(2)場面,(3)フィードバックの内容や詳しい状況,(4)その時の気持ち,(5)その後の気持ちの変化や行動への影響
4.教員のフィードバックに対する希望
5.教員のフィードバックに対する肯定的意見
結果と考察
1.実習における気持ちの落ち込みや意欲の高まりの程度
気持ちが落ち込んだ時の頻度は,「少しあった」(31.82%),「たくさんあった」(59.09%)が多かった。気持ちが前向きになったり、意欲がさらに高まったりした時の頻度は,「少しあった」(59.09%),「たくさんあった」(27.27%)が多かった。教員のフィードバックにより気持ちが落ち込んだ時の頻度についても,「少しあった」(56.82%),「たくさんあった」(20.45%)が多く,気持ちが前向きになったり、意欲がさらに高まったりした時の頻度も,「少しあった」(50.00%),「たくさんあった」(40.91%)が多かった。
2.教員のフィードバックにより,最も気持ちが落ち込んだ時
時期は,3年生後期が多かった(52.27%)。場面は,「カンファレンス」 (22.73%),「質問・相談」(20.45%)が多かった。内容は,「一方的な指導・注意」が最も多く,その時の気持ちは,「悲しかった,落ち込んだ,悔しかった,辛かった」等の否定的感情,「やめたい,嫌になった,がっかりした,モチベーションが下がった」等意欲低下が多くみられた。後にフィードバックの影響があったという回答は多く(56.82%),「自分の行動を見直し,改めようと努力した」,「先生に対し恐怖を感じた。身構えるようになった」といった回答が多かった。
3.実習指導教員のフィードバックにより、最も気持ちが前向きになったり、意欲がさらに高まったりした時
時期は3年生後期が多く(50.01%)。場面は,「面接」 (29.55%),「質問・相談」 (27.27%)が多かった。内容は,「ほめられた・評価された」が最も多く,その時の気持ちは,「嬉しかった」等の肯定的感情,「がんばろうと思った」等意欲向上が多くみられた。後にフィードバックの影響があったという回答は多く(75.00%),「頑張れた,やる気が出た」といった回答が多かった。
4.教員のフィードバックに対する希望
指導や評価に関して,「具体的,的確なフィードバックがほしい」,「認めてほしい,評価してほしい」といった回答が多くみられた。
5.教員のフィードバックに対する肯定的意見
「評価してくれた,認めてくれた,ほめてくれた」といった回答が多くみられた。
以上のことから,実習において教員のフィードバックは学生の気持ちや行動の変化に強く影響するといえる。また,具体的なフィードバックや肯定的に評価されるフィードバックは,実習やその後の様々な行動に対する意欲向上につながる効果的なフィードバックであると考えられる。
看護実習において,教員の関わりが学生に与える影響は大きく(小林,2005; 中村,2003),教員のフィードバックは学生の意欲に強く影響することが示されている(小山,2008; 霜田・小林・杉山,2005; 山科,2007)。しかし,これまでの研究では,実習の評価や実習で困った場面についてのみ調べられていたり,実習の一部領域についてのみ調べられていたりしたため,実習全体としてはどのようにフィードバックが学生に影響しているのかは明らかではない。本研究では,看護実習全体について,教員のフィードバックによる学生の気持ちの変化や行動への影響を明らかにすることとした。
方 法
調査対象:看護学部の大学4年生44名(男性1名,女性43名)。平均年齢21.86歳(SD=1.27)。
調査内容:以下の質問項目を含む質問紙を作成した。
1.実習における気持ちの落ち込みや意欲の高まりの程度
(1)気持ちが落ち込んだ時の頻度,(2)気持ちが前向きになったり,意欲がさらに高まったりした時の頻度,(3)教員のフィードバックにより,気持ちが落ち込んだ時の頻度,(4)教員のフィードバックにより,気持ちが前向きになったり,意欲がさらに高まったりした時の頻度
2.教員のフィードバックにより,最も気持ちが落ち込んだ時
(1)実習時期,(2)場面,(3)フィードバックの内容や詳しい状況,(4)その時の気持ち,(5)その後の気持ちの変化や行動への影響
3.教員のフィードバックにより、最も気持ちが前向きになったり,意欲がさらに高まったりした時
(1)実習時期,(2)場面,(3)フィードバックの内容や詳しい状況,(4)その時の気持ち,(5)その後の気持ちの変化や行動への影響
4.教員のフィードバックに対する希望
5.教員のフィードバックに対する肯定的意見
結果と考察
1.実習における気持ちの落ち込みや意欲の高まりの程度
気持ちが落ち込んだ時の頻度は,「少しあった」(31.82%),「たくさんあった」(59.09%)が多かった。気持ちが前向きになったり、意欲がさらに高まったりした時の頻度は,「少しあった」(59.09%),「たくさんあった」(27.27%)が多かった。教員のフィードバックにより気持ちが落ち込んだ時の頻度についても,「少しあった」(56.82%),「たくさんあった」(20.45%)が多く,気持ちが前向きになったり、意欲がさらに高まったりした時の頻度も,「少しあった」(50.00%),「たくさんあった」(40.91%)が多かった。
2.教員のフィードバックにより,最も気持ちが落ち込んだ時
時期は,3年生後期が多かった(52.27%)。場面は,「カンファレンス」 (22.73%),「質問・相談」(20.45%)が多かった。内容は,「一方的な指導・注意」が最も多く,その時の気持ちは,「悲しかった,落ち込んだ,悔しかった,辛かった」等の否定的感情,「やめたい,嫌になった,がっかりした,モチベーションが下がった」等意欲低下が多くみられた。後にフィードバックの影響があったという回答は多く(56.82%),「自分の行動を見直し,改めようと努力した」,「先生に対し恐怖を感じた。身構えるようになった」といった回答が多かった。
3.実習指導教員のフィードバックにより、最も気持ちが前向きになったり、意欲がさらに高まったりした時
時期は3年生後期が多く(50.01%)。場面は,「面接」 (29.55%),「質問・相談」 (27.27%)が多かった。内容は,「ほめられた・評価された」が最も多く,その時の気持ちは,「嬉しかった」等の肯定的感情,「がんばろうと思った」等意欲向上が多くみられた。後にフィードバックの影響があったという回答は多く(75.00%),「頑張れた,やる気が出た」といった回答が多かった。
4.教員のフィードバックに対する希望
指導や評価に関して,「具体的,的確なフィードバックがほしい」,「認めてほしい,評価してほしい」といった回答が多くみられた。
5.教員のフィードバックに対する肯定的意見
「評価してくれた,認めてくれた,ほめてくれた」といった回答が多くみられた。
以上のことから,実習において教員のフィードバックは学生の気持ちや行動の変化に強く影響するといえる。また,具体的なフィードバックや肯定的に評価されるフィードバックは,実習やその後の様々な行動に対する意欲向上につながる効果的なフィードバックであると考えられる。