[PD24] 保育者研修におけるマイクロティーチングの研究Ⅰ
観察者の行動評定による有効性の検討
Keywords:保育者研修, マイクロティーチング, 有効性
問題と目的
マイクロティーチング (MT) は,詳細な指導案を作成し,短時間に少人数を指導する実習教育であり,保育技術の育成に最も効果的であることが保育科学生を対象に実証されている (金子智栄子, 2013)。しかし,現職保育者ではその有効性が充分に検証されているとはいえない。そこで本研究では,幼稚園での園内研修において現職保育者を対象にMTを実践し,どのような効果があるかについて検討する。筆者らが研修者の認識を分析したところ,幼児役(C)への心情理解が深まり,個人差に合わせた対応が可能になることが示唆された(日本保育学会,2018)。そこで,本研究では,観察者の行動評定をもとにMTの有効性を検証する。
方 法
参加者:千葉県内の私立幼稚園の教員9名で,内訳は観察者2名 (副園長) ,保育者役は担任1名 (経験年数2年)と補助1名 (3年) の計2名,子ども役は異なるタイプ (「優等生」「自閉症児」「外国籍」「破天荒」「のんびり」) の各1名で計5名 (保育者歴10年~15年)。子ども役の選定は,普段の保育場面を振り返り「気になる子」が対象とされた。
指導内容:3歳児対象で,朝の集まりの後,忍たま音頭を踊るのが活動であるが,ねらいは「円になる動きを知りながら,みんなで盆踊りと夕涼み会を楽しむ」である。
訓練日時:2017年7月20日約2時間
訓練手順:1) MT 1回目
(1) 実践(25分):観察者はチェックリストにてTとCを行動評定。
(2) 検討会(30分):TとCのコメントをもとに観察者が内省を深める。必要に応じてビデオを再生し確認し,Tは反省点を明確にして,2回目の実践で修正する。
2) MT 2回目 (訓練手順はMT1回目と同様)
行動評定項目:T行動では,<保育技術・態度>は①保育内容の理解度,②充実度,③手順,④予想外の子どもの行動への対応,⑤余裕,⑥言葉かけ,⑦指導の修正,⑧個別指導,⑨不参加児などへの対応,⑩間の活用,⑪注意の集中,⑫タイミング,⑬発言の取り上げ方,⑭正の強化の利用,⑮負の強化の利用,⑯発想の取り上げ方,⑰主体的活動の尊重,⑱幼児心理の理解度,⑲指導態度,<環境配置>は⑳子ども集団の位置,㉑指導者の位置,㉒人的環境の配置,㉓環境設定,㉔教材・教具の準備。C行動では①遊戯性,②自由度,③主体性,④発展性,⑤満足度,⑥持続性。
結果と考察
保育者歴14年の観察者の評定を用いた。
1) Tに対する行動評定
保育実践において,MT1回目より2回目の方が向上した行動は,<保育技術・態度>で④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑫⑬⑱だった。不参加児や予想外の子どもの行動に対して,幼児の気持ちを理解しながら,余裕をもってタイミングよく個別に指導できるようになったと考えられる。<環境配置>では向上した項目はなかった。
2) Cに対する行動評定
保育実践において,MT1回目より2回目の方が向上した行動は②④⑥だった。のびのびと活動し,課題を自分なりに発展させ,指導終了後にもこの活動と関連する活動を行うことが予想された。
Tは,子どもの行動に対して心情を理解しながらゆとりをもって適切にかかわるようになり,Cものびのびと課題を発展させて楽しんでいたことが,伺われる。
そこで,研究Ⅱではビデオを用いてTとCの行動分析を行い,相互交渉を詳細に検討する。
マイクロティーチング (MT) は,詳細な指導案を作成し,短時間に少人数を指導する実習教育であり,保育技術の育成に最も効果的であることが保育科学生を対象に実証されている (金子智栄子, 2013)。しかし,現職保育者ではその有効性が充分に検証されているとはいえない。そこで本研究では,幼稚園での園内研修において現職保育者を対象にMTを実践し,どのような効果があるかについて検討する。筆者らが研修者の認識を分析したところ,幼児役(C)への心情理解が深まり,個人差に合わせた対応が可能になることが示唆された(日本保育学会,2018)。そこで,本研究では,観察者の行動評定をもとにMTの有効性を検証する。
方 法
参加者:千葉県内の私立幼稚園の教員9名で,内訳は観察者2名 (副園長) ,保育者役は担任1名 (経験年数2年)と補助1名 (3年) の計2名,子ども役は異なるタイプ (「優等生」「自閉症児」「外国籍」「破天荒」「のんびり」) の各1名で計5名 (保育者歴10年~15年)。子ども役の選定は,普段の保育場面を振り返り「気になる子」が対象とされた。
指導内容:3歳児対象で,朝の集まりの後,忍たま音頭を踊るのが活動であるが,ねらいは「円になる動きを知りながら,みんなで盆踊りと夕涼み会を楽しむ」である。
訓練日時:2017年7月20日約2時間
訓練手順:1) MT 1回目
(1) 実践(25分):観察者はチェックリストにてTとCを行動評定。
(2) 検討会(30分):TとCのコメントをもとに観察者が内省を深める。必要に応じてビデオを再生し確認し,Tは反省点を明確にして,2回目の実践で修正する。
2) MT 2回目 (訓練手順はMT1回目と同様)
行動評定項目:T行動では,<保育技術・態度>は①保育内容の理解度,②充実度,③手順,④予想外の子どもの行動への対応,⑤余裕,⑥言葉かけ,⑦指導の修正,⑧個別指導,⑨不参加児などへの対応,⑩間の活用,⑪注意の集中,⑫タイミング,⑬発言の取り上げ方,⑭正の強化の利用,⑮負の強化の利用,⑯発想の取り上げ方,⑰主体的活動の尊重,⑱幼児心理の理解度,⑲指導態度,<環境配置>は⑳子ども集団の位置,㉑指導者の位置,㉒人的環境の配置,㉓環境設定,㉔教材・教具の準備。C行動では①遊戯性,②自由度,③主体性,④発展性,⑤満足度,⑥持続性。
結果と考察
保育者歴14年の観察者の評定を用いた。
1) Tに対する行動評定
保育実践において,MT1回目より2回目の方が向上した行動は,<保育技術・態度>で④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑫⑬⑱だった。不参加児や予想外の子どもの行動に対して,幼児の気持ちを理解しながら,余裕をもってタイミングよく個別に指導できるようになったと考えられる。<環境配置>では向上した項目はなかった。
2) Cに対する行動評定
保育実践において,MT1回目より2回目の方が向上した行動は②④⑥だった。のびのびと活動し,課題を自分なりに発展させ,指導終了後にもこの活動と関連する活動を行うことが予想された。
Tは,子どもの行動に対して心情を理解しながらゆとりをもって適切にかかわるようになり,Cものびのびと課題を発展させて楽しんでいたことが,伺われる。
そこで,研究Ⅱではビデオを用いてTとCの行動分析を行い,相互交渉を詳細に検討する。