日本教育心理学会第60回総会

講演情報

ポスター発表

[PE] ポスター発表 PE(01-71)

2018年9月16日(日) 13:30 〜 15:30 D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:30~14:30 偶数番号14:30~15:30

[PE39] エンゲージメントと課題パフォーマンスの関係

エンゲージメント尺度を作成して

外山美樹 (筑波大学)

キーワード:エンゲージメント, 課題パフォーマンス, 大学生

問題と目的
 近年,パフォーマンスを規定する動機づけ概念として,エンゲージメントが注目されている。エンゲージメントは,ワーク・モチベーションの研究に端を発した概念であり,「職務上の遂行プロセスにおいて,身体的(行動的),認知的,感情的に自分自身を駆使して表現している状態」(Kahn, 1990)と定義される。近年では,学校の学習活動へのエンゲージメントと学習成果との関連が検討されるなど(Reeve & Tseng, 2011),教育現場においても注目を集めている。
 本研究では,課題遂行におけるエンゲージメント尺度を作成し,エンゲージメントと課題パフォーマンスの関連を検討することを目的とする。

方  法
参加者 大学生64名(男性28名,女性36名;平均年齢19.83±1.30歳)。
課題と手続き 課題として拡散的思考課題(UUT; Guilford, 1967)と計算課題(Toyama et al., 2018)を実施し,それぞれの課題後に,先行研究を参考に作成したエンゲージメント尺度原案(18項目,7段階評定)に回答してもらった。

結果と考察
 拡散的思考課題後に実施したエンゲージメント尺度原案の因子分析(最尤法→プロマックス回転)の結果に基づき,“感情エンゲージメント(α=.93)”“行動エンゲージメント(α=.89)”“状態エンゲージメント(α=.84)”“認知エンゲージメント(α=.81)”の4つの下位尺度からエンゲージメント尺度を作成した(Table 1)。計算課題後に実施したエンゲージメント尺度の確認的因子分析の結果,4因子斜交モデルの適合度は高かった(GFI=.925,AGFI=.906,RMSEA=.075)。
 エンゲージメント尺度と拡散的思考課題パフォーマンス(流暢性得点)の相関係数は,感情が.33(p<.01),状態が.21(p<.10),認知が.28(p<.05)であった。また,エンゲージメント尺度と計算課題パフォーマンスの相関係数は,感情が.51,行動が.39,状態が.35,認知が.39(いずれもps<.01)であった。
 本研究の結果より,課題遂行におけるエンゲージメントは,課題パフォーマンスを直接的に予測する概念であることが示された。