[PF64] 教師の教授行動と授業が荒れる要因の関連
Keywords:授業研究, 授業崩壊
問 題
近年教育現場では「不登校」「いじめ」「体罰」などの問題が多く取りざたされているが,いわゆる「学級崩壊」と呼ばれる問題もまだ多く見られているのが現状である。この「学級崩壊」は特に小学校段階で問題になることが多い。小学校段階では,担任教師が多くの授業を担当するため,学級崩壊のクラスにおいては,必然的に授業も荒れている傾向が指摘できる。では,どういう教師の行動が授業を荒れさせているのだろうか。教師の行動が児童に影響をあたえるという観点で,教師の行動と授業の荒れとを関連して検討することは非常に重要である。そこで本研究では,教師の行動が授業中の子どもにどのような影響を与えているのかを,荒れているクラスと通常学級の教師とを比較して明らかにすることを目的とした。なお,本研究で荒れている学級と選定したクラスは,予め学校の管理職よりクラスの特徴として,担任教師が授業運営に苦慮しているということを聞いている学級である。
方 法
調査対象:小学校2年生,3年生各2学級ずつ(通常,荒れ学級各1)。各学級国語科の授業3授業ずつ計12授業
分析指標:1.教師の位置(3カテゴリ),教師の介入(4カテゴリ),子どもの発話(5カテゴリ),教師の対応(7カテゴリ)
予備調査
まず予め荒れている学級と管理職より言われている学級が通常の学級と比較してどのような特徴を有しているのかを明らかにした。その際の指標として以下の2つを用いた。1.中断時間(授業と関係の無い話題・行動に費やした秒数),2.子どもの立ち歩きのべ回数
分析の結果,通常学級における中断時間の平均は19.15秒であるのに対し,荒れている学級の中断時間の平均は95.65秒であった。また子どもの立ち歩きののべ人数の平均は通常学級では0.98人(/回)であるのに対して,荒れている学級では17人(/回)であった。このことから,本件急で荒れている学級は通常学級に比べ,授業運営に苦慮しているということが伺える。
結果および考察
それぞれの指標に対してカテゴリ分析及び事例研究を行った。児童の発言内容に対する教師の態度を検討した結果,児童の【応答】対して「通常学級」の教師は【受け入れ】をすることが多いのに対し,荒れている学級の教師は【無視】をすることが多かった。また児童が授業に直接関係のない発言をした際,「通常学級」の教師は【受け入れ】【名指しでの注意】が多いのに対し,荒れている学級の教師は【無視】が多かった。以上の結果より,児童の授業中のどのような発言に対しても荒れている学級の教師は【無視】をするという特徴があることが示唆された。教師の授業内での位置に関しては,通常学級の教師も荒れている学級の教師にも関連が見られなかった。またいくつかの事例を検討した結果,児童が授業中に建ち歩いた際の教師の介入が通常学級と荒れている学級の教師の間で異なることが明らかとなった。どちらの学級の教師も注意を行うが,通常学級の教師は注意に加えて次の課題を提示するなど児童の授業への参加を促す働きかけを行っていたのに対し,荒れている学級の教師は,注意のみで終わっている場面が多く見られた。以上の結果より,通常学級と荒れている学級の教師の授業内での児童への対応には差が見られることが明らかであり,それが学級の荒れに繋がっていることも示唆された。
近年教育現場では「不登校」「いじめ」「体罰」などの問題が多く取りざたされているが,いわゆる「学級崩壊」と呼ばれる問題もまだ多く見られているのが現状である。この「学級崩壊」は特に小学校段階で問題になることが多い。小学校段階では,担任教師が多くの授業を担当するため,学級崩壊のクラスにおいては,必然的に授業も荒れている傾向が指摘できる。では,どういう教師の行動が授業を荒れさせているのだろうか。教師の行動が児童に影響をあたえるという観点で,教師の行動と授業の荒れとを関連して検討することは非常に重要である。そこで本研究では,教師の行動が授業中の子どもにどのような影響を与えているのかを,荒れているクラスと通常学級の教師とを比較して明らかにすることを目的とした。なお,本研究で荒れている学級と選定したクラスは,予め学校の管理職よりクラスの特徴として,担任教師が授業運営に苦慮しているということを聞いている学級である。
方 法
調査対象:小学校2年生,3年生各2学級ずつ(通常,荒れ学級各1)。各学級国語科の授業3授業ずつ計12授業
分析指標:1.教師の位置(3カテゴリ),教師の介入(4カテゴリ),子どもの発話(5カテゴリ),教師の対応(7カテゴリ)
予備調査
まず予め荒れている学級と管理職より言われている学級が通常の学級と比較してどのような特徴を有しているのかを明らかにした。その際の指標として以下の2つを用いた。1.中断時間(授業と関係の無い話題・行動に費やした秒数),2.子どもの立ち歩きのべ回数
分析の結果,通常学級における中断時間の平均は19.15秒であるのに対し,荒れている学級の中断時間の平均は95.65秒であった。また子どもの立ち歩きののべ人数の平均は通常学級では0.98人(/回)であるのに対して,荒れている学級では17人(/回)であった。このことから,本件急で荒れている学級は通常学級に比べ,授業運営に苦慮しているということが伺える。
結果および考察
それぞれの指標に対してカテゴリ分析及び事例研究を行った。児童の発言内容に対する教師の態度を検討した結果,児童の【応答】対して「通常学級」の教師は【受け入れ】をすることが多いのに対し,荒れている学級の教師は【無視】をすることが多かった。また児童が授業に直接関係のない発言をした際,「通常学級」の教師は【受け入れ】【名指しでの注意】が多いのに対し,荒れている学級の教師は【無視】が多かった。以上の結果より,児童の授業中のどのような発言に対しても荒れている学級の教師は【無視】をするという特徴があることが示唆された。教師の授業内での位置に関しては,通常学級の教師も荒れている学級の教師にも関連が見られなかった。またいくつかの事例を検討した結果,児童が授業中に建ち歩いた際の教師の介入が通常学級と荒れている学級の教師の間で異なることが明らかとなった。どちらの学級の教師も注意を行うが,通常学級の教師は注意に加えて次の課題を提示するなど児童の授業への参加を促す働きかけを行っていたのに対し,荒れている学級の教師は,注意のみで終わっている場面が多く見られた。以上の結果より,通常学級と荒れている学級の教師の授業内での児童への対応には差が見られることが明らかであり,それが学級の荒れに繋がっていることも示唆された。