[PG24] 女子大学生の記憶力の違いによる記憶方略の効果の認知
キーワード:記憶方略, 記憶力, 女子大学生
目 的
本研究の目的は,女子大学生の記憶成績の違いによって,英語の単語や文章を記憶するときに使用する記憶方略の効果の捉え方に違いがあるのかどうかを吟味することであった。
方 法
(1) 研究参加者:女子大学生88名が研究に参加した。(2) 記憶材料と調査用紙:記憶材料は,梅本ほか(1955)の無連想価0-4%の二字音節から選択した20項目。コンピュータによる1項目2秒提示。項目間間隔は1秒。調査用紙は2種類。1つは,研究参加者の再テスト用の回答用紙。他は,記憶研究で効果的だと実証されている5つの記憶方略(Bと表記)を,リハーサル等の一般的な記憶方略(Aと表記)と比較・選択させる課題の用紙。Q1からQ5の5つの記憶方略選択課題は,以下のとおり。Q1:A集中学習方略(「英語の単語や文章を,休まずに集中して覚える」)とB分散学習方略(「英語の単語や文章を,休憩をとりながら覚える」)。Q2:Aリハーサル方略(「英語の単語や文章を,繰り返し読んだり書いたりして覚える」とB自己テスト方略(「英語の単語や文章を,繰り返し自分でテストしながら覚える」)。Q3:Aリハーサル方略とBイメージ方略(「英語の単語や文章を,繰り返しイメージをつくって覚える」)。Q4:Aリハーサル方略とB塗りつぶし方略(「英語の単語や文章を,マーカーでぬるなどしてその箇所を覚える」)。Q5:Aリハーサル方略とB体制化方略(「英語の単語や文章を,自分の経験や具体例に関連づけて覚える)。記憶方略の一方を選択した場合,1「もっとも効果的」~3「やや効果的」の3種の効果の程度の1つを選択させた。なお,どちらも効果的であるを選択した場合はCと表記。(3) 手続き:集団調査。まず,ひらがな2字音節の記銘と自由再生課題。再生時間は40秒。ついで,記憶方略の選択課題の実施。時間は5分。
結果と考察
88名の記銘成績を得点化したところ,20点満点で平均値(M=8.73)と標準偏差(SD=2.03)であった。この平均値を基準にして,記憶成績を上位群と下位群に区分したところ,上位群は43名でM=10.42(SD=1.26),下位群は45名でM=7.11(SD=1.11)であった。上位群は下位群より有意によい成績であった(t(86)=13.79, p<.01)。
Table 1より,Q1とQ2に対して,上位群も下位群もともにBへの回答の割合が高く,心理学研究で効果的とされる記憶方略を正しく選択したことがわかる。この結果は,学生が効果的と確信していることに加えて,半年以上前に説明された教育心理学の授業の内容を記憶していたことによるかもしれない。また,Q4で,上位群はより効果的な記憶方略を選択する割合が高かった。
本研究の目的は,女子大学生の記憶成績の違いによって,英語の単語や文章を記憶するときに使用する記憶方略の効果の捉え方に違いがあるのかどうかを吟味することであった。
方 法
(1) 研究参加者:女子大学生88名が研究に参加した。(2) 記憶材料と調査用紙:記憶材料は,梅本ほか(1955)の無連想価0-4%の二字音節から選択した20項目。コンピュータによる1項目2秒提示。項目間間隔は1秒。調査用紙は2種類。1つは,研究参加者の再テスト用の回答用紙。他は,記憶研究で効果的だと実証されている5つの記憶方略(Bと表記)を,リハーサル等の一般的な記憶方略(Aと表記)と比較・選択させる課題の用紙。Q1からQ5の5つの記憶方略選択課題は,以下のとおり。Q1:A集中学習方略(「英語の単語や文章を,休まずに集中して覚える」)とB分散学習方略(「英語の単語や文章を,休憩をとりながら覚える」)。Q2:Aリハーサル方略(「英語の単語や文章を,繰り返し読んだり書いたりして覚える」とB自己テスト方略(「英語の単語や文章を,繰り返し自分でテストしながら覚える」)。Q3:Aリハーサル方略とBイメージ方略(「英語の単語や文章を,繰り返しイメージをつくって覚える」)。Q4:Aリハーサル方略とB塗りつぶし方略(「英語の単語や文章を,マーカーでぬるなどしてその箇所を覚える」)。Q5:Aリハーサル方略とB体制化方略(「英語の単語や文章を,自分の経験や具体例に関連づけて覚える)。記憶方略の一方を選択した場合,1「もっとも効果的」~3「やや効果的」の3種の効果の程度の1つを選択させた。なお,どちらも効果的であるを選択した場合はCと表記。(3) 手続き:集団調査。まず,ひらがな2字音節の記銘と自由再生課題。再生時間は40秒。ついで,記憶方略の選択課題の実施。時間は5分。
結果と考察
88名の記銘成績を得点化したところ,20点満点で平均値(M=8.73)と標準偏差(SD=2.03)であった。この平均値を基準にして,記憶成績を上位群と下位群に区分したところ,上位群は43名でM=10.42(SD=1.26),下位群は45名でM=7.11(SD=1.11)であった。上位群は下位群より有意によい成績であった(t(86)=13.79, p<.01)。
Table 1より,Q1とQ2に対して,上位群も下位群もともにBへの回答の割合が高く,心理学研究で効果的とされる記憶方略を正しく選択したことがわかる。この結果は,学生が効果的と確信していることに加えて,半年以上前に説明された教育心理学の授業の内容を記憶していたことによるかもしれない。また,Q4で,上位群はより効果的な記憶方略を選択する割合が高かった。