日本教育心理学会第60回総会

講演情報

ポスター発表

[PH] ポスター発表 PH(01-73)

2018年9月17日(月) 13:00 〜 15:00 D203 (独立館 2階)

在席責任時間 奇数番号13:00~14:00 偶数番号14:00~15:00

[PH56] 特別な支援が必要な生徒を対象とした「心理学演習」の実践報告

アンケートから読み取るグループワークの効果

葉山大地 (中央学院大学)

キーワード:グループワーク, 応用インプロ

 筆者は,2013年度より単位取得制(フレックス制)の高校で「心理学演習」の授業を担当している。コミュニケーションに強く苦手意識を持つ生徒,発達障害が疑われる生徒,他国籍の生徒など,特別な支援が必要な生徒が多い。グループに一人はスタッフがつかないと活動が成立しづらいなど,特別な支援が実際に必要となる場面も多い。本授業は,応用インプロを軸として,構成的グループエンカウンターやグループワーク・トレーニングを織り交ぜた構成になっている(ワーク内容は,葉山・ヒュース,上田,2016においても詳しい)。
 本発表は,筆者が授業を行ってきた4年間の活動を報告する同時に,生徒たちが授業を通してどのような変化・成長をしていったのかを,年度末のアンケートから探索的に検討することを目的としている。

授業内容およびアンケート方法
調査対象 関東部の単位取得制(フレックス制)高等学校に通う151名を対象とした。授業を履修した生徒の内,H25年度は67名,H26年度は34名,H27年度は21名,H28年度は29名がアンケートに回答した。
授業の構成 毎週の授業は「テーマ説明」,「テーマに沿ったワーク」,「振り返りシートの記入」から構成。
授業の内容 各種ワークは,ゲーム形式のものがほとんどである。ワークの中心は,応用インプロを用いたゲームであり,これらのゲーム活動は「yes and」(他者のアイディアを受け入れ,自分のアイディアを足す)を体感するものが多い(Figure1, 2参照)。
年度末に行ったアンケート内容 各年度で,授業時間の最後に以下のアンケートを実施した。
平成25・26年度の質問内容 「1年間の授業を通して,頑張った(もしくは意識した,努力した)と思うこと」
平成27・28年度の質問内容「1年間の授業を通して,自分が変わったなぁと思うこと」

アンケート結果
 生徒が,授業を通して頑張ったことは何であろうか。平成25・26年度に行ったアンケート結果により,(1)自己表現,(2)他者理解,(3)協調・協力,(4)その他というカテゴリーに分けられた(Table 1参照)。
 本授業を受講していた生徒は,何を得て,どのような変化をしたのだろうか。平成27年度および平成28年度に行ったアンケートで得られた回答から全般的変化,積極的態度,自己表現,他者受容,その他という5個のカテゴリーが得られた(Table 2参照)。

引用文献
葉山 大地・ヒュース由美・上田 知子(2016).発達障害を持つ当事者を対象としたインプロ・ワークショップの効果に関する探索的検討 中央学院大学 人間・自然論叢 42, 3-28.
葉山 大地(2017).特別な支援が必要な生徒に対するグループワークの実践報告-アンケートから読み取るグループワークの効果-,中央学院大学人間・自然論叢,44,178-200.