[PF03] 夫婦間での育児参加状況に関する認識のずれと夫婦関係満足度および育児ストレスとの関係
キーワード:育児参加、認識のずれ、育児ストレス
目 的
育児において夫婦協働で行われることが多くなってきているが,未だ父親の参加に関しては十分な状況とはいえない。そうした中,実際に育児に参加している時間や主観的な自己評価,配偶者から参加していると思われているかどうかの認識がずれている可能性が考えられる。本研究では,それらの関連性について検討し,特に自己評価と配偶者からの評価の認識のずれが夫婦関係満足度や育児ストレスとの関連について検討する。
方 法
調査方法 調査は2019年2月にマクロミル社に依頼しインターネット上で行った。未就学児の子どもがいる父母子どもが同居している家庭という条件でスクリーニングを行い,412件の有効なペアデータが得られた。
調査項目
育児参加状況:平日と休日における育児参加状況について,それぞれ3種類で尋ねた。
(1)時間:「1.していない」「2.1~30分未満」「3.30分~1時間未満」「4.1時間~2時間未満」「5.2時間~4時間未満」「6.4時間~6時間未満」「7.6時間以上」の7件法で尋ねた。
(2)自己評価:「1.全くしていない」から「5.いつもしている」の5件法で尋ねた。
(3)配偶者からの評価の認識:配偶者から見て自分がどれくらい育児に参加していると思われていると思うかについて「1.全くしていない」から「5.いつもしている」の5件法で尋ねた。
夫婦関係満足度:諸井(1996)の夫婦関係満足度尺度を使用し,6項目で4件法にて尋ねた。
育児ストレス:井上・柳田・深見・深野(2014)などを参考に項目を作成した。負担感,時間のなさ,不安感をそれぞれ3項目で5件法にて尋ねた。
結果と考察
父親と母親それぞれについて平日と休日の育児参加状況に関する3種類の回答についてスピアマンの順位相関係数を算出したところ,Table1のような結果となり,全てが1%水準で有意であった。
次に,育児参加状況に関する自己評価と配偶者からの評価の認識の得点について,それぞれ1から3をL,4と5をHとした上で,2×2(HH群,HL群,LH群,LL群)の4群に分けた(Table2)。例えば,HL群は自己評価として育児に参加していると考えている一方で,配偶者からは参加していないと思われていると認識している群となる。
父母,平日休日それぞれで各群の(A)夫婦関係満足度,(B)育児ストレスの負担感,(C)時間のなさ,(D)不安感について記述統計量を算出した。なお,各尺度得点は,関連する項目の得点の平均値で計算した。その上で平均値の差の検定を行ったが,母親に関してはLH群,LL群の度数が低いため比較から除外した。その結果がTable3,4である。
育児参加状況に関する認識に関して,時間,自己評価,配偶者からの評価の認識の関係について,順位相関係数や群分けした際の度数から,全体的に関連していることが示された。
一方で,群分けした上での夫婦関係満足度や育児ストレスの差に着目してみると,父母ともに,自分は育児に参加しているのに配偶者からはしていないと思われていると認識している(HL群)場合には,育児に参加し配偶者からのそう思われていると認識している場合と比べて,夫婦関係満足度が低いことが明らかとなった。また,そうした状況の時に父親は育児負担感が高く,母親は平日の育児参加に関して不安感が高いことが示された。
育児において夫婦協働で行われることが多くなってきているが,未だ父親の参加に関しては十分な状況とはいえない。そうした中,実際に育児に参加している時間や主観的な自己評価,配偶者から参加していると思われているかどうかの認識がずれている可能性が考えられる。本研究では,それらの関連性について検討し,特に自己評価と配偶者からの評価の認識のずれが夫婦関係満足度や育児ストレスとの関連について検討する。
方 法
調査方法 調査は2019年2月にマクロミル社に依頼しインターネット上で行った。未就学児の子どもがいる父母子どもが同居している家庭という条件でスクリーニングを行い,412件の有効なペアデータが得られた。
調査項目
育児参加状況:平日と休日における育児参加状況について,それぞれ3種類で尋ねた。
(1)時間:「1.していない」「2.1~30分未満」「3.30分~1時間未満」「4.1時間~2時間未満」「5.2時間~4時間未満」「6.4時間~6時間未満」「7.6時間以上」の7件法で尋ねた。
(2)自己評価:「1.全くしていない」から「5.いつもしている」の5件法で尋ねた。
(3)配偶者からの評価の認識:配偶者から見て自分がどれくらい育児に参加していると思われていると思うかについて「1.全くしていない」から「5.いつもしている」の5件法で尋ねた。
夫婦関係満足度:諸井(1996)の夫婦関係満足度尺度を使用し,6項目で4件法にて尋ねた。
育児ストレス:井上・柳田・深見・深野(2014)などを参考に項目を作成した。負担感,時間のなさ,不安感をそれぞれ3項目で5件法にて尋ねた。
結果と考察
父親と母親それぞれについて平日と休日の育児参加状況に関する3種類の回答についてスピアマンの順位相関係数を算出したところ,Table1のような結果となり,全てが1%水準で有意であった。
次に,育児参加状況に関する自己評価と配偶者からの評価の認識の得点について,それぞれ1から3をL,4と5をHとした上で,2×2(HH群,HL群,LH群,LL群)の4群に分けた(Table2)。例えば,HL群は自己評価として育児に参加していると考えている一方で,配偶者からは参加していないと思われていると認識している群となる。
父母,平日休日それぞれで各群の(A)夫婦関係満足度,(B)育児ストレスの負担感,(C)時間のなさ,(D)不安感について記述統計量を算出した。なお,各尺度得点は,関連する項目の得点の平均値で計算した。その上で平均値の差の検定を行ったが,母親に関してはLH群,LL群の度数が低いため比較から除外した。その結果がTable3,4である。
育児参加状況に関する認識に関して,時間,自己評価,配偶者からの評価の認識の関係について,順位相関係数や群分けした際の度数から,全体的に関連していることが示された。
一方で,群分けした上での夫婦関係満足度や育児ストレスの差に着目してみると,父母ともに,自分は育児に参加しているのに配偶者からはしていないと思われていると認識している(HL群)場合には,育児に参加し配偶者からのそう思われていると認識している場合と比べて,夫婦関係満足度が低いことが明らかとなった。また,そうした状況の時に父親は育児負担感が高く,母親は平日の育児参加に関して不安感が高いことが示された。