日本教育心理学会第62回総会

講演情報

ポスター発表(特別支援)

[P] ポスター発表(特別支援): P249-P261

2020年9月19日~21日

[P258] 自閉症児に活用性のある学びを引き起こすための授業デザインの分析

生活場面のSCAT分析を通して

野尻 浩1, 中田 孝2 (1.放送大学, 2.八千代リハビリテーション学院)

キーワード:自閉症児、授業デザイン、SCAT

自閉症児はこだわりが強く,学習したことがパターン化し,学びの活用性や可搬性に大きな課題を抱えている。そこで本研究では,「おりぞめ発表会」というものづくり教材を使用して自閉症児に協調的な学びを引き起こし,事例生徒の生活場面での学びを分析することで,活用性のある学びを引き起こす授業デザインを明らかにすることを目的とした。研究方法は,学級担任に事例生徒の協調過程を説明した後,生活場面の学びについて半構造化面接を行い,その回答内容をSCAT分析した。その結果,自閉症児に活用性のある学びが起こった要因として,他者から多様な学習活動をモニタリングすることによって,色や染め方を自己選択できる機会が多く生まれ,新しい学びへの期待が喚起したことが考えられる。こうした共同体の学習環境により,メタ認知的活動が生まれ,学習者自身にデザインモードの学びが起こったと推測できる。