日本教育心理学会第62回総会

講演情報

ポスター発表(特別支援)

[P] ポスター発表(特別支援): P249-P261

2020年9月19日~21日

[P261] インクルーシブ教育の推進の度合いと信頼レベルの関連

国際教員指導環境調査(TALIS)データの二次分析による検討

前田 楓1, 橋本 博文2 (1.安田女子大学大学院, 2.安田女子大学)

キーワード:インクルーシブ教育、信頼、集団主義

近年,我が国の学校教育においては,障がいのある子どもと障がいのない子どもが可能な限り同じ場所で共に学ぶ「インクルーシブ教育」の推進が目指されている。しかし,日本をはじめとする集団主義的な社会においては,人間関係における同質性を重視するがゆえに,その推進が難しくなる可能性が指摘されている。本研究の目的は,こうした社会のあり方とインクルーシブ教育推進の度合いとの関連について,マクロレベルでの相関を確認することにある。具体的には,個人主義・集団主義指標や他者に対する「信頼」のレベル,そして,インクルーシブ教育に対する態度についての国や地域を単位とするデータを用いた二次分析を行った。その結果,特別な支援を要する生徒への指導能力を持つ教員の不足に対する校長の認識と個人的な知り合いに対する信頼の度合いとの間に負の関連が示された。このことから,信頼水準の低い国や地域において,特別な支援を要する生徒への指導能力を持つ教員の不足が質の高い指導を行う上で妨げになっている可能性が示された。