[P287] いじめられる側にも責任があるって本当ですか?その14
他サンプルでの非再現性の背景要因としてのいじめ被害・加害経験
キーワード:いじめ、被害者への有責性認知、いじめ被害・加害
従来,いじめ被害者への有責性認知について,被害者の責任割合を検討した研究は,一つのデータベースを用いて繰り返し検討されていたため,他のサンプルにおける再現性が不明であった。そこで,小山他(2020)は,大学生と一般社会人の2つのサンプルにおいて,同様の手法で調査を行い,再現性を検討した。その結果,一般社会人サンプルでは,大学生サンプルよりもいじめ被害者への有責性が低く評価されたことが分かった。その背景要因として,各サンプルにおけるいじめ被害・加害経験の違いがあるかを検討した結果,一般社会人サンプルでは,他のサンプルに比較していじめ被害経験者が有意に多いことや,一般社会人サンプルではいじめ加害経験を有する者の方が,いじめ被害者への有責性を低く評価することが分かった。この結果は,大学生サンプルで見られた方向性(小山・福井, 2014)とは正反対であった。いじめに対する認識の世代差が,こうした差異に影響している可能性が示唆された。