日本地質学会第130年学術大会

シンポ・セッション紹介

昨年の東京・早稲田大会から,セッションを「トピックセッション」,「ジェネラルセッション」,「アウトリーチセッション」の3カテゴリに変更され,従来のレギュラーセッションは発展的に解消されました.京都大会も早稲田大会に引き継続き,これら3つのセッションで構成いたします.
【重要】学術大会セッションの変更について
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タイトルをクリックすると各詳細をご覧いただけます.
招待講演者の紹介(学会HPへ)

◆ シンポジウム    
S1.白亜紀フレアアップ    
◆ トピックセッション    
T1.岩石・鉱物の変形と反応 T2.変成岩とテクトニクス T3.ジオパーク
T4.中生代日本と極東アジア T5.テクトニクス T6.堆積地質学
T7.鉱物資源研究 T8.応力逆解析 T9.マグマ
T10.文化地質学 T11.南極研究 T12.地球史
T13.沈み込み帯・付加体 T14.原子力 T15.地域地質・層序
T16.都市地質学    
◆ ジェネラルセッション    
◆ アウトリーチセッション    
◆ ジュニアセッション    

*タイトル(和英),世話人氏名・所属,概要を示します.*印は代表世話人(連絡責任者)です.[at]は@マークにして送信してください.


シンポジウム

S1.環太平洋地域における白亜紀フレアアップ
Cretaceous Flare-up in the Circum Pacific Region

世話人:河上哲生*(京都大学:t-kawakami[at]kueps.kyoto-u.ac.jp)・谷 健一郎(国立科学博物館)
Convener: Tetsuo Kawakami(Kyoto Univ.),Kenichiro Tani(National Museum of Nature and Science, Tokyo)
環太平洋地域ではマグマ活動が非常に活発になるフレアアップ期と低調になる静穏期とが繰り返されてきた.またその周期にはフラクタル的階層性があることもわかってきたが,何がこうした周期性を支配しているのかが未解決の大きな問題となっている.珪長質火成岩類のU-Pbジルコン年代等の蓄積により,本邦には白亜紀以降3つの花崗岩質マグマのパルス状の活動があったことがわかっており,白亜紀フレアアップについては,その実像と当時のテクトニクスが徐々に見え始めている.そこで本シンポジウムでは, 白亜紀フレアアップに関連する研究に取り組んでいる若手・中堅研究者を招き,現時点の理解を集約し,多角的視点からの研究発展に寄与することを目的とする.
招待講演予定者:山岡 健(産業技術総合研究所)・堤 之恭(国立科学博物館)・Jonny Wu(University of Huston)・中村佳博(産業技術総合研究所)・下岡和也(愛媛大学)ほか

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トピックセッション


T1.岩石・鉱物の変形と反応
Deformation and reaction of rocks and minerals

世話人: 岡本 敦*(東北大学;atsushi.okamoto.d4[at]tohoku.ac.jp),岡崎啓史(広島大学),向吉秀樹(島根大学)
Convener: Atsushi Okamoto(Tohoku Univ.), Keishi Okazaki(Hiroshima Univ.),Hideki Mukoyoshi(Shimane Univ.)
鉱物・岩石の変形プロセス(破壊,摩擦,結晶塑性変形)と反応プロセス(続成作用,変成作用,変質作用,交代作用など)は,H2O-CO2流体の関与や元素移動を介してしばしば強く相互作用し,地震,火山活動,グローバル元素循環などの地球内部のダイナミックな現象に大きな影響を与える.本セッションでは,野外調査,化学組成分析,岩石組織解析,室内変形実験,反応実験,岩石学的・溶液化学的モデリング,組織形成モデリング,統計的データ解析などの近年,発達が著しい様々なアプローチによる最新の成果の発表を歓迎する.表層近傍から,地殻,マントル,プレート沈み込み境界などの様々な岩石・地質体を対象に,地震などの秒スケールからプレート運動などの100万年スケールの変形・反応現象や,また変形と反応を支配するナノからマイクロスケールの素過程から露頭スケール・プレートスケールの構造発達,など様々な時間・空間スケールの地質現象について議論したい.さらに,物質科学的な分析・解析と地球物理観測データと結びつけながら,ダイナミックな固体地球プロセスを理解する新たな展開を期待したい.
提案母体:構造地質部会・岩石部会
招待講演者:赤松裕哉(広島大学:非会員),金木俊也(京都大学:会員)


T2.変成岩とテクトニクス
Metamorphic rocks and tectonics

世話人:田口知樹*(早稲田大学:t-taguchi[at]waseda.jp),大柳良介(国士舘大学),北野一平(北海道大学)
Convener: Tomoki Taguchi(Waseda Univ.), Ryosuke Oyanagi(Kokushikan Univ.), Ippei Kitano(Hokkaido Univ.)
本トピックセッションは,2021年大会までレギュラーセッションとして開催されてきた同名のセッションを継続さらに発展させる形で,国内外を問わず世界各地の変成岩・変形岩とテクトニクスなどに関連する幅広い研究成果を募集する.野外調査・岩石や鉱物組織の記載・各種機器分析などを基本とする岩石学的および構造地質学的研究のみならず,地殻・マントルのレオロジーや変成反応の物理化学的素過程など,様々な手法や規模の視点に立った話題を取り上げる.微小スケールから大規模テクトニクススケールまで広く対象とし総合的に議論することで,衝突帯や沈み込み帯などプレート境界で起こる変成・変形作用の包括的理解に迫る.
提案母体:岩石部会
招待講演者:特になし


T3.大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク
Geopark to enjoy and learn about the earth and human activities

[共催:日本ジオパークネットワーク(JGN),後援:日本ジオパーク学術支援連合(JGASU)]
世話人:松原典孝*(兵庫県立大学大学院: nd5408y[at]gmail.com),郡山鈴夏(フォッサマグナミュージアム) ,山崎由貴子 (日本ジオパークネットワーク事務局)
Convener: Noritaka Matsubara(University of Hyogo),Suzuka Kooriyama(Fossa Magna Museum), Yukiko Yamasaki(Japanese Geoparks Network)
ジオパークは,大地とその上に広がる動植物や私たちの生活・文化・歴史を総合的に理解し,楽しみながら学ぶ場である.現在日本には,ユネスコ世界ジオパークを含む46のジオパークがあるが,それぞれの地域で教育やジオツアーによる観光などユニークな活動が展開されている.それらの活動にあたっては,大地の歴史(ジオ)やその上で展開されている人間活動との関連を,一般の方に分かり易く解説することが重要となる.本セッションは,研究者のみならずジオパークの現場で活動している博物館学芸員・ジオパーク専門員・自治体職員・ジオパークガイド等も対象として,ジオパークに関連する幅広い講演を募集したい.本セッションの議論を通じて,日本地質学会としてジオパークの発展に寄与したい.
提案母体:ジオパーク支援委員会
招待講演者:特になし

 

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T4.中生代日本と極東アジアの古地理・テクトニクス的リンク:脱20世紀の新視点
Paleogeographic and geotectonic link between Mesozoic Japan and Far East Asia: a new view for the post-20st century

世話人:磯﨑行雄*(東京大学大学院 :isozaki[at]ea.c.u-tokyo.ac.jp),澤木佑介(東京大学),佐藤友彦 (岡山理科大学)
Convener: Yukio Isozaki(Univ.of Tokyo), Yusuke Sawaki(Univ.of Tokyo), Tomohiko Sato (Okayama Univ. of Science)"
日本列島形成史研究において,隣接するアジア大陸東縁部との地質学的関係はあらゆる解釈に最も重要な制限条件を与える.20世紀末には日本列島地殻のほとんどが顕生代の海洋プレート沈み込み帯産物から構成されることが確認されたが,日本列島の起源については残された地質記録が少なく,詳細が不明であった.その後,21世紀になってジルコンの粒子ごとのU-Pb年代測定が広く普及し,年代未詳だった花崗岩や地層について新たに多数の年代データが得られるようになった.その結果,日本列島の地殻主部が南中国地塊の北東延長部で成長したことが確認された.一方で日本中央部の飛騨帯だけは,かつて想定された北中国地塊の一部ではなく,大和堆や日本海北縁の三国(ロシア・中国・北朝鮮)境界域とともに,北中国と大・南中国(Greater South China)地塊との間の領域に対比されることが判明しつつある.中新世の日本海形成以前の古地理復元において,新しいデータに基づく日本列島と極東アジアとの間の地質比較は不可欠である.特に飛騨帯の太平洋側境界は,極東アジアの地体構造を支配する最重要の地体構造境界にあたり,新たに提案された大和構造線(Yamato tectonic line)の一部にあたる.本セッションでは,飛騨帯およびそれ以外の日本地体構造単元と中生代東アジア大陸との比較・対比について最新の議論を行う.
招待講演者:Julien LeGrand(静岡大学:会員)


T5.テクトニクス
Tectonics

世話人:藤内智士*(高知大学:s-tonai[at]kochi-u.ac.jp),高下裕章(産業技術総合研究所),中嶋 徹(日本原子力研究開発機構)
Convener: Satoshi Tonai(Kochi Univ.), Hiroaki Koge(Geological Survey of Japan/AIST),Toru Nakajima(Japan Atomic Energy Agency/JAEA)
テクトニクスは,地球をはじめとする固体天体の岩石圏の動きことであり,多様な分野のデータにもとづいて議論が行われる.本セッションでは陸上から海洋における野外調査や各種観測,実験や理論などに基づき,日本や世界各地に発達するあらゆる地質体の構造,成因,形成過程や発達史に関する講演を募集する.専門分野に捉われず幅広い発表の場を設けることで,各分野の最新の知見の情報共有を行い,多角的な議論を行うことを目的とする.話題はローカルなものから広域テクトニクスに関するものまで問わない.表層堆積盆に関連する層序学・古地磁気学的研究だけでなく,古環境や火成活動の変遷史,付加体の形成史,先新生界の新生代変形史・熱史.また,現在進行している地殻変形や活構造に関するものまで,多様な研究分野の発表を歓迎する.2022年早稲田大会でのトピックセッション「新生界地質から読み解く西南日本弧の成立—付加体形成から背弧拡大まで」に引き続き,新生代の西南日本弧およびフィリピン海プレート北端部のテクトニクスに関連する発表を歓迎する.
提案母体:構造地質部会・岩石部会
招待講演者:星 博幸(愛知教育大学:会員)


T6.堆積地質学の最新研究
Latest Studies in Sedimentary Geology

[共催:日本堆積学会/有機地球化学会/石油技術協会探鉱技術委員会]
世話人:白石史人*(広島大学:fshirai[at]hiroshima-u.ac.jp),松本 弾(産業技術総合研究所),山口悠哉(石油資源開発株式会社)
Convener: Fumito Shiraishi(Hiroshima Univ.), Dan Matsumoto(GSJ, AIST),Yuya Yamaguchi(JAPEX)
堆積物や堆積岩(砕屑岩・珪質岩・炭酸塩岩・蒸発岩・石油・石炭など)とそれを構成する物質(砕屑物・沈積物・有機物など)についての最近の研究成果を対象とし,野外調査や観測・分析による実証的な研究及び理論的・実験的な研究にもとづく堆積地質学分野の最新の知見を共有するとともに,今後の展望について議論する.堆積物/堆積岩の形成に関わるプロセス(風化・侵食・溶解・運搬・堆積・沈積・続成作用),堆積物/堆積岩の粒子形態・組織・構造・岩相・層序・堆積相・生物相,堆積前後の周辺環境の物理的・化学的・生物学的・有機地球化学的研究および観察・測定・分析・探査手法などについての研究発表を募集する.また,石油・石炭地質に関する成因・産状・資源量などについての発表も歓迎する.
提案母体:堆積地質部会
招待講演者:奥村知世(高知大学海洋コア総合研究センター:会員),齋藤 有(徳島大学:非会員)

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T7.鉱物資源研究の最前線
Frontiers of Mineral Resources Research

世話人:中村謙太郎*(東京大学: kentaron[at]sys.t.u-tokyo.ac.jp),町田嗣樹(千葉工業大学)
Convener: Kentaro Nakamura(Univ.of Tokyo), Machida Shiki(Chiba Institute of Technology)
資源は,人類の文明を支えるために不可欠の要素であり,最先端の電子技術・環境技術にも多様なレアメタル資源が必須である.そのため,人類が今後環境・エネルギー問題を解決し,持続可能な社会を発展させる上で,資源の安定的な確保は極めて重要な課題と言える.このような背景のもと,海底鉱物資源をはじめとする新しい資源の開発に向けた動きが活発化し,鉱物資源への注目が高まっている.鉱物資源の形成過程に関わる様々な元素の輸送・濃集過程は,地殻・マントルにおけるプレート運動やマグマ活動,大気・海洋における環境変動など,地球におけるダイナミックな物質循環と分化の一部に他ならない.そのため,鉱物資源の成因を考える上では,地球全体にまたがるグローバルな物質循環とその変遷が,資源形成とどのように関わってきたのかについての包括的な理解が不可欠である.そこで本セッションでは,鉱物資源そのものに対する研究に加えて,資源の形成メカニズムと地球の表層および内部環境,テクトニックセッティング,マントルダイナミクス等との関わりについてグローバルに議論する場を提供する.さらに,鉱物資源研究における新しい研究アプローチや研究手法を提案する機会も提供したい.
提案母体:鉱物資源部会
招待講演者:見邨和英(千葉工業大学:会員)


T8.フィールドデータにおける応力逆解析総決算
Stress Inverse Analysis on Field Data

世話人:大坪 誠*(産業技術総合研究所:otsubo-m[at]aist.go.jp),大橋聖和(山口大学),佐藤活志(京都大学)
Convener: Makoto Otsubo(GSJ, AIST),Kiyokazu Oohashi(Yamaguchi Univ),Katsushi Sato(Kyoto Univ.)
テクトニクスの機構や駆動力を理解するには地殻応力とその変遷史の解明を避けては通れない.また,地殻応力の評価は,理学的興味だけではなく,亀裂と流体移動の関係の解明や防災など応用地質的な価値も高い.応力逆解析手法はここ四半世紀ほどで大きく発展し,構造地質学の分野では断層,岩脈,鉱物脈,方解石双晶など様々なスケールの地質構造を用いた手法が開発された.そして公開されたソフトウェアは様々な研究者に利用され,島弧の構造発達史の理解は大きく進展した.本セッションでは,応力逆解析手法に関する四半世紀の歩みを振り返り,これまでの進展や地殻応力の時間変化・空間分布,応力逆解析を利用した間隙流体圧や断層の摩擦係数の推定などついてフィールドデータによる事例を交えてまとめる.その上で,浮かび上がってきた疑問や課題,地殻応力に関する“そもそも論”について議論する.
提案母体:構造地質部会
招待講演者:山路 敦(京都大学:会員),内出崇彦(産業技術総合研究所:非会員)


T9.マグマソースからマグマ供給システムまで
From magma source to magma plumbing system

世話人: 齊藤 哲*(愛媛大学:saitotetsu[at]sci.ehime-u.ac.jp),草野有紀(産業技術総合研究所),江島圭祐(山口大学)
Convener: Satoshi Saito(Ehime Univ), Yuki Kusano(GSJ, AIST), Keisuke Eshima(Yamaguchi Univ.)
地球上に見られる多様な火成岩体は,マントル~地殻深部のマグマソースから火山体下のマグマ供給システムに至る広い環境下でのマグマプロセスを経て形成されたものであり,野外地質調査や観測,各種実験・分析により得られる岩石・鉱物の産状や組織,化学組成などの解析からは,マグマの起源物質,活動規模,固結・冷却年代,温度圧力条件,酸化還元状態などについての情報を得ることができる.個々の火山体・深成岩体から火山帯・バソリス群まで,また,様々な時代のプレート収束境界・プレート発散境界・プレート内などのマグマ形成場において,発生から定置・固結に至るまでのマグマの物理・化学的挙動や時間スケール,テクトニクスとの相互作用などを明らかにすることは,地球の進化およびダイナミクスの理解に重要である.本セッションでは,多様なテクトニクス場において発生・定置した火成岩体・火成岩類を対象に,マグマの発生・輸送・定置・分化などのマグマプロセスにアプローチした研究発表を広く募集する.野外地質学・岩石学・鉱物学・火山学・地球化学・年代学・岩石磁気学・物理探査など様々な視点からの活発な議論を期待する.
提案母体:火山部会・岩石部会
招待講演者:村岡 やよい(産業技術総合研究所:会員)


T10.文化地質学
Culture geology

[共催:文化地質研究会]
世話人:大友幸子*(山形大学:yukiko[at]e.yamagata-u.ac.jp),森野善広(パシフィックコンサルタンツ株式会社),猪股雅美(広島大学:非会員,文化地質研究会会員)
Yukiko Ohtomo (Yamagata Univ.), Yoshihiro Morino(Pacific Consultants Co., Ltd.), Masami Inomata(Hiroshima Univ.)
文化地質学は人類の文化・文明が,地質とどのように関わってきたか,そして現在もどのように関わっているかを研究する学際的学問分野である.これまでのトピックセッションでは,以下のような研究例が示された.(1)地質を石材など資源として活用した事例研究,(2)考古遺物の成分分析を行った研究,(3)地域の固有文化との関わりを論じた研究,(4)博物館などでの普及・教育実践についての研究,(5)地質に関わる文学の研究,(6)山岳霊場など宗教と地質の関わりを論じた研究.今年の大会は京都で開催されるため,招待講演は京都の地質と文化に関連する講演者を選定した.今回のセッションでも,研究発表の申込みはこれに限定せず,文化・文明と地質との関わり,人・社会の営みと地質との関わり,観光資源としての地質など,地質と人々との関わりについて論じたすべての研究発表を歓迎する.
招待講演者:貴治康夫(立命館高等学校:会員),加藤友規(植彌加藤造園株式会社:非会員)

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T11.南極研究の最前線
Frontier of research on Antarctica

世話人: 足立達朗*(九州大学:t-adachi[at]scs.kyushu-u.ac.jp),外田智千(国立極地研究所),菅沼悠介(国立極地研究所)
Convener: Tatsuro Adachi(Kyushu Univ), Tomokazu Hokada(National Institute of Polar Research), Yusuke Suganuma(National Institute of Polar Research)
2023年秋に65回目を迎える日本の南極地域観測隊では,主に東南極のドロンニングモードランドからエンダビーランドにわたる地域を対象として,基盤地質と氷河地形地質研究を中心として活発に進められている.この地域に分布する基盤地質は,太古代から古生代最初期にかけて形成された変成岩・深成岩類から構成され,超大陸形成に伴うテクトニクスや,地殻内部の変成・火成・流体プロセスなどの解明に寄与している.最新の研究としては,岩石学・年代学的解析に基づくゴンドワナ超大陸形成時のテクトニックモデルや地帯構造区分の提案,部分融解や流体活動などの活動的地殻深部における素過程の解明に関する成果が報告されている.氷河地形地質研究では,南極沿岸域の深海・浅海・湖沼堆積物や露岩域の氷河地形など対象とした過去の氷床変動復元を中心として,リモートセンシング技術等を使った各種の現場観測や氷床・気候・海洋モデル研究等と連携した統合的なアプローチから,南極氷床の変動メカニズムや地球環境変動との相互作用の解明が進められている.また,最近は火星表面環境のアナログとして,寒冷・乾燥下の地形プロセス研究なども注目を集めている.本トピックセッションでは,分野の垣根を超えて最近の研究成果を集約し,南極研究から得られた知見を広く共有・議論する場を提供することで,次世代の南極研究を大きく展開させることを目的とする.また,南極に関わる研究の魅力を発信し,南極研究に興味を持つ(若手・中堅)研究者に新たな研究テーマやチャンスを提供する絶好の機会となることを期待する.
提案母体:岩石部会,環境変動史部会
招待講演者:板木拓也(産業技術総合研究所:会員),野木義史(国立極地研究所:非会員)


T12.地球史
History of earth

世話人: 冨松由希*(九州大学: tomimatsu.yuki.396[at]m.kyushu-u.ac.jp),大山 望(九州大学),桑野太輔(千葉大学)
Convener: Yuki Tomimatsu(Kyushu Univ.), Nozomu Oyama(Kyushu Univ.), Daisuke Kuwano(Chiba Univ.)
地球の大気,海洋,そして生命圏は,46億年前の地球誕生から我々人類が存在する現在まで,密接な相互作用を及ぼし合い,様々な時間スケールで大きな変化を遂げてきた.これらは,地球内部の熱エネルギーや太陽活動や天体衝突などの地球外要因によって駆動されており,地球史における大気,海洋,生命圏でのダイナミックな環境変動は,生物の生息環境への適応や絶滅・進化の過程に大きく影響する.また,こうした記録は,地表に露出する地層・現代の海洋堆積物やそれらに含まれる化石に残されている.多岐にわたる科学的手法を駆使して「観測した事実」をもとに,地球上で起きた様々な変動について紐解くことは地質学の大きな醍醐味の一つであり,こうした地球史の記録の解析から,過去だけでなく未来の地球の姿を予測することも可能だろう.本セッションでは,特定の時代・化学的手法に捉われず,気候変動や地球表層環境変動,生物の進化や生態系の復元,地殻変動の謎に迫る研究など,「地球史」というキーワードで繋がる幅広い内容を取り上げたいと考えている.あらゆる地質時代・研究分野に携わる研究者同士が繋がり,最新の成果を集約したインタラクティブな議論を展開する場にしたい.特に,大学院生や若手研究者の積極的な参加を期待している.
提案母体:環境変動史部会
招待講演者:千葉謙太郎(岡山理科大学:非会員),梶田展人(弘前大学:会員)

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T13.沈み込み帯・陸上付加体
Subduction zones and on-land accretionary complexes

世話人:橋本善孝*(高知大学: hassy[at]kochi-u.ac.jp),坂口有人(山口大学),山本由弦(神戸大学),中村恭之(海洋研究開発機構)
Convener: Yoshitaka Hashimoto(Kochi Univ),Arito Sakaguchi, (Yamaguchi Univ),Yuzuru Yamamoto(Kobe Univ),Yasuyuki Nakamura(JASMTEC)
沈み込み帯・陸上付加体に関するあらゆる分野からの研究を歓迎する.野外調査,微細構造観察,分析,実験,理論,モデリングのみならず海洋における反射法地震探査,地球物理観測,地球化学分析,微生物活動など多様なアプローチに基づいた活発な議論を展開したい.次世代の沈み込み帯・陸上付加体研究者を育てるべく,学生による研究発表も大いに歓迎する.
提案母体:構造地質部会
招待講演者:小平秀一(海洋研究開発機構:非会員)


T14.原子力と地質科学
Nuclear Energy and Geological Sciences

世話人:竹内真司*(日本大学:takeuchi.shinji[at]nihon u.ac.jp),吉田英一(名古屋大学),梅田浩司(弘前大学)
Convener: Shinji Takeuchi(Nihon Univ),Hidekazu Yoshida(Nagoya Univ.),Koji Umeda(Hirosaki Univ.)
原子力は,ウラン資源探査,活断層耐震安全性評価,廃棄物地中処分,放射性物質の環境動態や,地下水流動や物質移行挙動,長期変動性など多くの地質科学と関連した分野の課題を有している.本セッション「原子力と地質科学(Nuclear Energy and Geological Sciences)」は,このような日本の原子力に関わる地質科学的課題について,地球科学的知見の議論及び関連する学会や研究者間の意見交換を行うことを目的としており,幅広い分野からの参加,発表を歓迎する.とりわけ地層処分の分野では2020年11月から北海道寿都町と神恵内村で我が国初の高レベル放射性廃棄物の地層処分のサイト選定に関わる文献調査が開始され,2000年のNUMO設立から20年目にして最初の法律に基づく第一段階目の調査となる.さらに,文献調査実施中の2022年8月には原子力規制委員会から,「特定放射性廃棄物の最終処分における概要調査地区等の選定時に安全確保上少なくとも考慮されるべき事項」(以下,「考慮事項」)が公表された.本セッションでは,原子力規制委員会が公表した「考慮事項」検討の背景と経緯についての紹介並びに,地殻変動の激しい我が国の地層処分のサイト選定において,地殻変動問題をクリアした課題となる地質構造と地下水流動の不確実性について話題提供をいただき,文献調査~概要調査への地層処分事業や研究開発の現状について広く議論を行いたい.
提案母体:環境地質部会
招待講演者:志間正和(原子力規制庁:非会員),千木良雅弘(深田地質研究所:会員)

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T15.地域地質・層序学:現在と展望
Regional geology and stratigraphy: review and prospect

世話人:辻野 匠*(産業技術総合研究所:t.tuzino[at]aist.go.jp),佐藤大介 (産業技術総合研究所),松原典孝(兵庫県立大学大学院)
Convener: Taqumi Tuzino(AIST),Daisuke Sato(AIST),Noritaka Matsubara(Univ.of Hyogo)
地域地質は自然科学の一分野である地質学において,直接の自然界にアクセスし記載する重要な領域であり,層序学(広義)はその地質体の産状を記載し,それぞれの成因や前後関係を確定する地質学の基礎的分野である.これらの分野・領域は個別分野の研究が進展すると忘れられることもあるが,研究成果がフィードバックされるべき対象として常に存在しつづける分野・領域であり,そのポテンシャル維持のためには,研究者が意図的に集って議論する場が必要である.そのためには明示的にセッションを設定することが有効な手段となろう.このセッションでは国内外を問わず,地域の地質や層序に関連した発表を広く募集し,地質図,ルートマップ,年代,地球化学データ,リモセン,ドローン,新しい調査手法,アイディアの紹介なども歓迎する.また,地域研究に根ざした,地域間の層序対比や年代層序スケールに関する発表も広く受け容れる.これらの発表及びそこで交される議論を通じて,本セッションが地域地質の知見の蓄積・層序の精密化・標準化の発展に貢献しつつ,新しい手法を取り込んで今後のフィールドサイエンスの底上げを担う研究者集団を涵養する場として役割を担うことを期待するものである.
提案母体:地域地質・層序両部会
招待講演者:板木拓也氏(産総研:会員),脇田浩二(山口大:会員)


T16.都市地質学:自然と社会の融合領域
Urban Geology: Interdisciplinary research on natural and social environments

世話人:北田奈緒子*(地域地盤環境研究所:kitada[at]geor.or.jp),田村嘉之(千葉県環境財団),中澤 努(産業技術総合研究所)
Convener: Naoko Kitada(GRI),Yoshiyuki Tamura(Chiba Prefectural Environmental Foundation),Tsutomu Nakazawa(GSJ, AIST)
都市は,自然環境と社会環境の接点に存在する複雑なシステムである.レジリエントな都市を実現するためには,自然と社会の相互作用を理解することが不可欠である.都市地質学は,層序学,第四紀学,構造地質学,環境地質学,土木地質学,災害地質学,水文地質学など,都市に関連するすべてのテーマからなる総合的な地質学である.都市の地質情報は,都市の発展やインフラの維持に重要であり,極めて高い社会経済的価値を有している.特に地質情報から得られるリスクや特性はインフラ構造物の施工管理の際にも必要不可欠なものであり,近年理学と工学の融合が必要とされている.国連は,持続可能な開発目標(SDGs)の1つに,持続可能な「都市」を挙げている.この目標を達成するために,地質の専門家は,関係するステークホルダーに必要な専門知識を提供するという重要な役割を担っている.また最近では,国のDX戦略の一環として,スマートシティの取り組みが各地で行われ,地質情報の社会実装のひとつの手段として期待されている.このような観点から本セッションでは,昨年に引き続いて都市の地質環境に関わるさまざまなテーマの講演を受け付ける.
提案母体:環境地質部会/情報底質部会
招待講演者:竹村恵二(京都大学名誉教授:非会員)
 

ジェネラルセッション

従来のレギュラーセッションの枠組みを発展的に解消し,一つのジェネラルセッションを設定します.本セッションはどのトピックセッションにも適合しない研究や多くの分野(disciplines)にまたがる研究などの発表の場になります.
詳しくは,【重要】学術大会セッションの変更について

ジェネラルセッションでの発表を希望する方は,演題登録時に発表に関連する分野として「①地域地質・層序・年代,②岩石・鉱物・火山,③地球化学,④堆積地質,⑤海洋地質,⑥構造地質,⑦第四紀地質・環境地質,⑧古生物・古環境,⑨応用地質・地質災害・技術,⑩教育・研究史,⑪その他」の中から最大3つを選び,関連性の順位を記入できます(任意).行事委員会はその順位を考慮して演題をグルーピングし,最大10程度のサブセッションにまとめて配列する予定です.
 



(注)ダイバーシティ認定ロゴ

  •  ダイバーシティ認定セッション [EDI: Equality, Diversity, Inclusion] 
  •  キャリア初期研究者 [ECS: Early Career Scientist]

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