130th Annual Meeting of the Geological Society of Japan

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G. General Session

[3poster38-47] G. General Session

Tue. Sep 19, 2023 1:30 PM - 3:00 PM G1-1_poster (Yoshida-South Campus Academic Center Bldg.)

[G-P-39] Sedimentary facies in the western slope of the Okinawa Trough since the last glacial maximum

*Keita Saito1, Tomo Aoki1 (1. Japan Coast Guard)

Keywords:Okinawa Trough, Late Quaternary

最終氷期最盛期以降の沖縄トラフ周辺における堆積環境の変化は沖縄トラフ内部のコアを中心に復元されており(例えば川村ほか,2007[1]),沖縄トラフ西側斜面での復元は沖永良部島北西に位置するPN線周辺または男女海盆の西方に限られている.しかし現世の斜面上部における粒子輸送は時空間的な変動が大きいこと(岡村ほか,1997[2]),沖縄トラフ西側斜面の地形は地域差が大きいことを鑑みれば,過去においても斜面部の堆積環境には地域差があったと考えられる.
沖男女海陵群は,沖縄トラフ北部の西側斜面,北緯30度付近に位置する一連の高まりの総称であり,陸棚とは小規模なトラフで隔てられている(青木ほか,2023[3]).海洋学的には東シナ海を流れる黒潮が陸棚を離岸する位置にあたるとともに,対馬暖流の源流域でもあることから(菱田ほか,1990[4]),沖男女海陵群周辺の堆積環境の復元からは,過去における黒潮の変動や対馬暖流の形成に対する制約を与えられる可能性がある.
本研究では,沖男女海陵群周辺から複数のグラビティーコアを採取するとともに,サブボトムプロファイラーにより海底面直下の堆積構造の調査を行った.グラビティーコアの堆積相と放射性炭素年代からは,多くの地点で完新世における粗粒化が観察されており,同時に分析を行った有孔虫の種組成などと組み合わせることで,最終氷期最盛期以降における堆積環境の変化を推定するとともに,周辺海域における復元との比較から,黒潮の変動や対馬暖流の形成に対する示唆を試みる.

参考文献
[1] 川村ほか (2007) 地質学雑誌 113(5), 184-192.
[2] 岡村ほか (1997) 海の研究 6, 361-369.
[3] 青木ほか (2023) 日本地球惑星科学連合2023年大会, SCG52-13.
[4] 菱田ほか (1990) 海洋調査技術 2(1), 1-9.