一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

課題口演

課題口演 口腔機能低下症

口腔機能低下症

2018年6月22日(金) 10:55 〜 12:10 第2会場 (1F 小ホール)

[課題2-4] 地域歯科医院の訪問診療患者における口腔機能低下症の割合

○太田 緑1、山澄 尚大2、小林 健一郎1,2、上田 貴之1、櫻井 薫1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、2. こばやし歯科クリニック)

【目的】
 我々はこれまで,地域歯科医院外来患者における口腔機能低下症の該当率と,各下位症状の該当率の実態を明らかにしてきた。しかし,外来患者以上に口腔機能の低下が疑われる訪問診療患者における口腔機能低下症の実態は明らかではない。そこで本研究では,訪問診療患者における口腔機能低下症の該当率と,認知症などにより計測できなかった検査の実態を調査することを目的とした。
【方法】
 平成29年12月から平成30年1月の間に,こばやし歯科クリニック(東京都江戸川区)の訪問診療において,日本老年歯科医学会の定義による口腔機能低下症の検査を実施した成人183名(男性50名,女性133名,平均年齢82±11歳)を対象とした。尚,口腔不潔は舌苔付着度を,咬合力低下は残存歯数を用いた。
【結果と考察】
 すべての検査を実施できた者は56.8%であり,口腔機能低下症の該当率は95.2%であった。項目別該当率は,舌口唇運動機能低下97.1%,低舌圧84.6%,咀嚼機能低下75.0%,咬合力低下73.1%,口腔不潔51.0%,口腔乾燥29.8%,嚥下機能低下27.9%であった。
 一方,認知症等の理由より実施できなかった検査は,咀嚼機能51.2%,舌圧37.6%,舌口唇運動機能25.3%,口腔不潔10.2%,嚥下機能10.2%,口腔乾燥2.8%,咬合力2.8%であった。このことから,検査法が理解できない,または指示が通らないなどの理由により実施できない検査があった場合は,それらの項目の取扱いについて今後何らかの対応が必要であると考えられる。