一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題ポスター

口腔機能

口腔機能

2018年6月22日(金) 09:50 〜 16:50 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-011] 訓練器具(エントレ)を用いた口腔機能トレーニングの実際と効果検証

○内野 隆生1,2、飯塚 能成1,2 (1. 本庄市児玉郡歯科医師会、2. IPSG包括歯科医療研究会)

【目的】
 超高齢社会でますます増加するオーラルフレイルや口腔機能低下症に対して口腔機能を維持回復させる訓練方法の確立が強く求められる今日,本庄市児玉郡歯科医師会では要介護者等の自立支援を目的としたケアの一助として訓練器具を用いた口腔機能トレーニングに取り組んでいる。口腔訓練器具「エントレ」を用いて独自に考案した体操の内容を具体的に紹介し,口腔ならびに全身機能に及ぼす効果について検証する。
【対象および方法】
 対象者は長期的にトレーニングを継続できる病院内通所リハビリテーションを利用中の要支援・要介護者のうち,事前アンケートで口腔機能低下症が疑われる45名とした。訓練方法は,口腔機能訓練器具「エントレ」を用いた独自の体操を指導し,施設および居宅でのトレーニングを実施した。体操は,吸啜・嚥下の一連の運動により舌および口腔周囲筋を効果的に鍛え,正常な嚥下と鼻呼吸を促すものである。効果検証は,本学会見解論文に準拠した7項目の検査に加えて口輪筋筋力測定も行った。全身機能の検査としては,肺活量,握力,ファンクショナルリーチ,5m歩行速度を測定した。研究期間は1年間とし,季節変動を踏まえて測定は3ヵ月ごととする。
【結果と考察】
 3ヵ月後に測定したところ,口腔機能ではTCI,口輪筋,舌圧の測定平均値において,全身機能では肺活量と5m歩行速度においてt検定による有意な改善を認めた。他の項目についても同等または良好な測定結果が得られており,本トレーニング方法が口腔周囲筋のみならず,鼻呼吸の促進により呼吸筋群にも運動刺激が及ぶことで,全身の筋力や身体バランス能力の向上にも有効である可能性が示唆された。