一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題ポスター

口腔機能

口腔機能

2018年6月22日(金) 09:50 〜 16:50 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-014] 脳梗塞または脳内出血による回復期リハビリテーション患者の口唇閉鎖力

○星 美和1、須藤 るり2、渡邉 幸子3、沖 剛至4、太田 緑4、上田 貴之4、櫻井 薫4 (1. 河北リハビリテーション病院セラピー部、2. 河北リハビリテーション病院ナーシング部、3. 河北リハビリテーション病院薬剤科、4. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座)

【目的】
 脳血管疾患の発症後に構音障害や摂食嚥下障害を伴う頻度は高く,言語聴覚士や歯科医師の介入の機会は多いといえる。我々は,構音機能低下や摂食嚥下機能低下に関連する因子の1つとして,口唇閉鎖(Lip Seal)に注目し,検討を行っている。今回は,脳梗塞および脳内出血患者を対象に,口唇閉鎖力の低下の実態を調査した。
【対象および方法】
 脳梗塞または脳内出血により河北リハビリテーション病院に入院し,言語聴覚士の介入が必要と診断された患者32人(平均年齢69±12歳)を対象とした。口唇閉鎖力の計測は,りっぷるくん (松風)を用いた。男性で9.0N未満,女性で7.0N未満を口唇閉鎖力低下とした。舌圧の計測は,舌圧測定器(JMS)を用いた。オーラルディアドコキネシス(/pa/,/ta/,/ka/)の計測は,健口くんハンディ(竹井機器工業)を用いた。反復唾液嚥下テスト(RSST)で2回以下を嚥下機能低下とした。各因子と口唇閉鎖力との関連はSpearmanの順位相関係数を,口唇閉鎖力低下との関連はFischerの正確確率検定で検討した(α=0.05)。
【結果と考察】
 口唇閉鎖力は平均9.3±5.1Nで,口唇閉鎖力低下は13名(41%)であった。原疾患は,脳梗塞24名(75%),脳内出血8名(25%)で,口唇閉鎖力低下との間に関連は認めなかった。嚥下機能低下は12名(38%)で,口唇閉鎖力低下との間に有意な関連を認めた。口唇閉鎖力と,舌圧(r=0.60),/pa/(r=0.39),/ta/(r=0.35)との間に有意な相関を認め,/ka/との間には認めなかった。以上より,口唇閉鎖力の低下と摂食嚥下障害との関連が示唆された。