一般社団法人日本老年歯科医学会 第29回学術大会

講演情報

一般演題ポスター

連携医療・地域医療

連携医療・地域医療

2018年6月22日(金) 09:50 〜 16:50 ポスター会場 (7F イベントホール)

[P一般-035] 地域連携による脳卒中の摂食嚥下リハビリテーションの取り組み

○安藤 麻里子1、古屋 純一2、吉見 佳那子1、尾花 三千代2、松原 ちあき2、山口 浩平1、中根 綾子1、戸原 玄1、水口 俊介1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科地域・福祉口腔機能管理学分野)

【目的】
 脳卒中は発症後に長期間の療養を要することが多く,また,急性期,回復期,生活期と患者のステージによって,療養環境が変わることが多く,地域連携が重要である。しかし,実際には,転院先に歯科が併設されていないことも多く,摂食嚥下リハビリテーションのために重要な口腔機能の管理が継続されない場合も多いと推察される。そこで今回,積極的な地域連携によって,急性期から回復期や生活期に至る摂食嚥下リハビリテーションの取り組みを行ったので報告する。
【方法】
 急性期病院入院中では,意識障害を認めることが多いため,医師,歯科医師,看護師,言語聴覚士が連携をとり,誤嚥性肺炎の予防に努め,ゼリーの摂取など可能な限りでの経口摂取確立を目指した。特に,歯科は,専門的な口腔衛生管理や口腔機能評価を行い,口腔機能を最大限に引き出すことに留意した。回復期病院へ転院後は,歯科が併設されていないため,医科看護師および言語聴覚士に口腔機能に関する情報提供を行い,継続した口腔機能管理を依頼した。また,回復期病院の依頼により,内視鏡下嚥下機能検査を訪問診療にて実施し,後方支援を随時行った。さらに,栄養摂取のための経口摂取確立後には,自宅退院時に回復期病院からの逆紹介を受け,急性期病院から訪問診療を行うことで,生活期において摂食嚥下リハビリテーションを継続できている。
【結果と考察】
 急性期病院を転院後,転院先の歯科や地域の歯科と十分な連携がとれず,摂食嚥下に必要な口腔機能の管理が途切れることも多い。療養期間が長い脳卒中では,歯科が多職種と地域で積極的に連携して取り組むことが,シームレスな脳卒中の摂食嚥下リハビリテーションにとって重要であることが示唆された。