The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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令和の老年歯科は炎症消退を通して全身の健康に寄与する 〜糖尿病・認知症領域から歯科が注目される時代〜

座長:水口 俊介(東京医科歯科大学大学院高齢者歯科学分野)

【略歴】
1987年:
東京医科歯科大学大学院歯学研究科  修了
1989年:
東京医科歯科大学歯学部高齢者歯科学講座 助手
2001年:
米国ロマリンダ大学歯学部Visiting Research Professor
2008年:
同大学大学院医歯学総合研究科全部床義歯補綴学分野教授
2013年:
同大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野教授

【抄録】
糖尿病と歯周病の関連が議論され始めて久しい。1990年アメリカインデアンにおける大規模な疫学研究から糖尿病患者における歯周病発症率は非糖尿病患者に比べ2.6倍高いことが報告された。またこの追跡研究によるとHbA1cが9.0以上になる確率は重度歯周病患者において軽度歯周病患者の6倍となることが報告されている。きわめて多くの論文が産出され、糖尿病と歯周疾患の関連についてはほぼ周知事項となり、糖尿病治療と歯周治療のコラボへの期待から診療報酬の中に【P処(糖)】が設定された。

 歯周病におけるプラークの炎症反応から歯周組織においてIL-1,IL-6,TNF-αといった炎症性サイトカインが産生され、全身的な血清レベルでのCRPの上昇が起きる。そのため歯周治療による局所の炎症の抑制が全身レベルでのCRPの低下につながりHbA1cの低下をもたらしていると考えられている。このメカニズムは糖尿病だけでなく虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患、早産・低体重児出産との関連においても議論されている。

 本日、西田先生からはご専門である糖尿病だけでなく認知症の観点からも議論いただく。ご承知のように我が国では8020達成者が50%を超えており、歯がないことによる様々な機能低下や栄養障害、QOL低下は回避できるようになるであろう。しかしながら歯があることによって発生するう蝕(根面う蝕)と歯周病への対策は喫緊の課題である。またこれらの問題は老年期に差し掛かる前の時期、或いは前期高齢者の段階からアプローチし適切な習慣を獲得させなければならない。

この講演で、多くの国民が快適な口腔で老年期を迎えられるようにわれわれ歯科医療関係者はなにをしなければならないかを強く意識するためのモチベーションを西田先生はわれわれに与えてくれるに違いない。

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