[O一般-015] 経管栄養患者における剥離上皮膜と口蓋細菌叢 ―次世代シークエンサーによる解析― 第二報 細菌叢への要因検索
緒言
経管栄養患者の口蓋粘膜には、しばしば剥離上皮膜が形成される。除去時の出血や、咽頭への落下による気道閉塞がリスクとして報告されている。しかし、剥離上皮膜の細菌学的為害性は不明である。細菌の検出方法に、次世代シークエンサー(Next Generation Sequencer:NGS)を用いた16S rRNAメタゲノム解析がある。本法により網羅的な細菌検出が可能となった。今回、剥離上皮膜の有無による口蓋での細菌叢の違いについてNGSを用いて比較し、細菌叢に影響する要因を検索した。さらに発熱と剥離上皮膜の関連性について検討したので、報告する。
方法
調査対象者は70歳以上の経管栄養の要介護高齢者18名であった(松本歯科大学倫理委員会 承認番号:257)。看護記録より患者背景および過去6か月以内の37.5度以上の発熱の有無を調査し、口腔内診査を行った。口腔内に膜状物質が確認できた場合、採取した。その後、HE染色により標本作製し、顕微鏡で角質変性物が認められた場合、剥離上皮膜有りとした。同時に口蓋を滅菌スワブで20回擦過し、DNA保存液に浸した。DNAを抽出後、PCR法にて16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を特異的に増幅した。その後、Index PCRにてシークエンスを付加し、NGSにて細菌を検出した。検出データをもとに、剥離上皮膜の有無による細菌比率の比較をMann-WhitneyのU検定にて行った。細菌叢の類似性を主成分分析にて検討した。主成分分析により得られた第1主成分の得点から各要因の相関比を算出し、細菌叢との関連性検討した。
結果と考察
剥離上皮膜有りの者は18名中10名であった。剥離上皮膜有りの者の口蓋からは肺炎などの感染症の原因菌であるStreptococcus属、Fusobacterium属、Streptococcus agalactiaeが有意に多く検出された。また、過去6か月以内の発熱については、剥離上皮膜有りの方が有意に多く、細菌叢と各要因との関連性については、「剥離上皮膜」が最も関連性が強かった。以上のことから、剥離上皮膜を有する者は特異的な細菌を有する口腔内環境であり、発熱を起こす可能性が示唆された。(COI開示:なし)
経管栄養患者の口蓋粘膜には、しばしば剥離上皮膜が形成される。除去時の出血や、咽頭への落下による気道閉塞がリスクとして報告されている。しかし、剥離上皮膜の細菌学的為害性は不明である。細菌の検出方法に、次世代シークエンサー(Next Generation Sequencer:NGS)を用いた16S rRNAメタゲノム解析がある。本法により網羅的な細菌検出が可能となった。今回、剥離上皮膜の有無による口蓋での細菌叢の違いについてNGSを用いて比較し、細菌叢に影響する要因を検索した。さらに発熱と剥離上皮膜の関連性について検討したので、報告する。
方法
調査対象者は70歳以上の経管栄養の要介護高齢者18名であった(松本歯科大学倫理委員会 承認番号:257)。看護記録より患者背景および過去6か月以内の37.5度以上の発熱の有無を調査し、口腔内診査を行った。口腔内に膜状物質が確認できた場合、採取した。その後、HE染色により標本作製し、顕微鏡で角質変性物が認められた場合、剥離上皮膜有りとした。同時に口蓋を滅菌スワブで20回擦過し、DNA保存液に浸した。DNAを抽出後、PCR法にて16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を特異的に増幅した。その後、Index PCRにてシークエンスを付加し、NGSにて細菌を検出した。検出データをもとに、剥離上皮膜の有無による細菌比率の比較をMann-WhitneyのU検定にて行った。細菌叢の類似性を主成分分析にて検討した。主成分分析により得られた第1主成分の得点から各要因の相関比を算出し、細菌叢との関連性検討した。
結果と考察
剥離上皮膜有りの者は18名中10名であった。剥離上皮膜有りの者の口蓋からは肺炎などの感染症の原因菌であるStreptococcus属、Fusobacterium属、Streptococcus agalactiaeが有意に多く検出された。また、過去6か月以内の発熱については、剥離上皮膜有りの方が有意に多く、細菌叢と各要因との関連性については、「剥離上皮膜」が最も関連性が強かった。以上のことから、剥離上皮膜を有する者は特異的な細菌を有する口腔内環境であり、発熱を起こす可能性が示唆された。(COI開示:なし)