The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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一般演題(口演・誌上開催)

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口腔機能

[O一般-019] 摂食嚥下障害を主訴とする外来患者の口腔機能と栄養状態の関連

○尾関 麻衣子1、平澤 玲子2,1、冨岡 孝成1、市川 陽子1、有友 たかね1、田中 祐子1、戸原 雄1、田村 文誉1、菊谷 武1,3 (1. 日本歯科大学 口腔リハビリテーション多摩クリニック、2. 共立女子大学家政学部食物栄養学科、3. 日本歯科大学大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学)

【目的】
 加齢や全身疾患による口腔機能低下は低栄養の原因となり、低栄養の存在はサルコペニアを通じてさらなる口腔機能低下の原因になることが予想される。そこで、口腔機能の評価に加えて低栄養のリスク評価を的確に行い、適切な介入により口腔機能低下の重症化を予防することが求められる。しかし、口腔機能低下の各診断項目と栄養状態に関する検討については十分とは言い難い。本題では、歯科外来患者における口腔機能と栄養状態との関連について明らかにすることを目的として行った。
【方法】
 2018年1月から2019年12月までに摂食嚥下障害を専門とするクリニックに外来受診した65歳以上の初診患者のうち、口腔機能評価および栄養状態の評価を行った患者131名(男性77名、平均年齢81.2歳、女性54名、平均年齢79.7歳)を対象とした。口腔機能評価は、舌圧、オーラルディアドコキネシス(以下、ODK)、咬合力、咀嚼能力とした。栄養状態の評価は、MNAR-SF、SMI:skeletal mass index等で行った。統計学的検討は、一元配置分散分析および相関分析を用いて有意水準は0.05未満とした。
【結果と考察】
 対象者131名のMNAR-SFの評点から3群に分類したところ、「低栄養」17名、「低栄養のリスクあり」55名、「栄養状態良好」59名であった。口腔機能評価の平均値は、舌圧が24.0±9.2 kPa、ODKの/pa/が5.3±1.2 回/秒、/ta/が5.3±1.2 回/秒、/ka/が4.7±1.3 回/秒、咬合力が621.8±488.4 N、咀嚼能力が150.7±75.0 mg/dLであった。舌圧、ODK、咬合力は、低栄養リスクに伴い有意な低値を示した(舌圧:p<0.01、ODK:p<0.01、咬合:p<0.05)。SMIと口腔機能の各項目との関連については、SMIと舌圧に有意な相関が認められた(p<0.01)。
 以上の結果から、口腔機能と栄養状態および骨格筋量には一定の関連があることが示された。歯科外来において、口腔機能低下の診断に加えて低栄養のリスクを評価し、重症化予防と栄養状態の改善を見据えた適切な介入が実施されるための方法を検討することが今後の課題である。
(COI 開示:なし)
(日本歯科大学生命歯学部倫理審査委員会 承認番号NDU-T2019-41)