[O一般-021] 口腔機能低下症の検査項目と年齢との関係性
【目的】口腔機能検査は2018年4月に保険導入されたが,各項目での基準値は年齢を問わず一定である.加齢により,全身の機能が低下すれば,口腔機能も低下することが予測され,その年齢ごとで可能な管理目標値を設定する必要があるのではないかと考えた.そのため,目標値の妥当性,各項目と年齢の関係性を検討するために,本学高齢者歯科に来院した患者に対し,口腔機能検査を実施し,各項目の検査値と年齢の関係を明らかにすることを目的とした.
【方法】 被検者は128名(男性52名,女性76名),平均年齢:76.5±8.5歳(51~93歳)である.7項目の検査(口腔不潔,口腔乾燥,咬合力低下,低舌圧,舌口唇運動機能低下,咀嚼機能低下,嚥下機能低下)を実施した.なお,咬合力低下は,通常検査法(プレスケールⅡ)及び代替検査法(残存歯数)を行った.各検査結果と年齢を,回帰分析を用いて統計処理した.相関係数は,ピアソンの積率相関係数を用いた.
【結果と考察】年齢とp<0.01で有意な相関がみられた項目は,舌口唇運動機能低下のパ(R=0.296),タ(R=0.257),カ(R=0.322),低舌圧(R=0.236),残存歯数(R=0.323)であった.また年齢とp<0.05で有意な相関がみられた項目は,咬合力低下(R=0.190),咀嚼機能低下(R=0.181)であった.口腔不潔(R=0.040),口腔乾燥(R=0.120),嚥下機能低下(R=0.100)では,有意な相関は認められなかった.相関が見られた項目に関しては,年齢が上がれば機能低下に該当する割合が増加し,特に75歳以上の後期高齢者では,過半数の被検者が基準値を下回った.今後は,年齢や性別に応じた基準値の再考や,目標値の設定を検討していきたい.
(COI開示:なし)
(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会:DH2018-032)
【方法】 被検者は128名(男性52名,女性76名),平均年齢:76.5±8.5歳(51~93歳)である.7項目の検査(口腔不潔,口腔乾燥,咬合力低下,低舌圧,舌口唇運動機能低下,咀嚼機能低下,嚥下機能低下)を実施した.なお,咬合力低下は,通常検査法(プレスケールⅡ)及び代替検査法(残存歯数)を行った.各検査結果と年齢を,回帰分析を用いて統計処理した.相関係数は,ピアソンの積率相関係数を用いた.
【結果と考察】年齢とp<0.01で有意な相関がみられた項目は,舌口唇運動機能低下のパ(R=0.296),タ(R=0.257),カ(R=0.322),低舌圧(R=0.236),残存歯数(R=0.323)であった.また年齢とp<0.05で有意な相関がみられた項目は,咬合力低下(R=0.190),咀嚼機能低下(R=0.181)であった.口腔不潔(R=0.040),口腔乾燥(R=0.120),嚥下機能低下(R=0.100)では,有意な相関は認められなかった.相関が見られた項目に関しては,年齢が上がれば機能低下に該当する割合が増加し,特に75歳以上の後期高齢者では,過半数の被検者が基準値を下回った.今後は,年齢や性別に応じた基準値の再考や,目標値の設定を検討していきたい.
(COI開示:なし)
(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会:DH2018-032)