[P一般-116] 長期間の機能訓練で嚥下機能に改善が見られなかった高齢者に器具を使った訓練が有効であった症例
【目的】
脳梗塞発症後、高度の構音障害、摂食嚥下障害を起こし、長期間口腔機能向上訓練を受けて改善が見られなかった高齢者に対して器具を使った口腔トレーニングを行ったところ短期間に改善が見られた1例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
67歳、男性。平成11年脳梗塞、平成24年 再発による右半身不全麻痺。平成25年転倒を機に徐々に歩行困難、失語症、嚥下障害が発現。週3回訪問リハビリによる歩行訓練等実施、週2回失語症デイケアにて言語訓練、週1回訪問歯科診療にて義歯作成調整、摂食嚥下訓練を継続していたが、むせ、流涎著明で改善軽度であった。軟口蓋麻痺を指摘され軟口蓋挙上床PLP を作成したが患者本人の拒否あり、平成31年3月当院に訪問依頼があった。訪問初診時は口唇閉鎖不全、右口角から頸部にかけて下垂し軟口蓋も下垂、常に流涎認めた。家族手料理によるとろみのついた食事を摂取していたが常にむせがみられた。顔貌非対称著明のため下顎位置確認とVF等の摂食機能検査を目的に地元総合病受診を勧めたが拒否された。前医では3ヶ月に1回のVE検査を続け、最終評価では兵頭スコア5点であったが、これも今後の検査は希望されなかった為、実施せず、RSST等非侵襲的基本検査のみ行った。治療としては口腔清掃、齲歯治療、上顎総義歯調整を行いつつ既存総義歯を利用したPAP舌接触補助床作製に加えて口腔機能向上体操、滑舌向上プログラム等の実施を週1回実施した。口腔機能向上体操時には摂食嚥下訓練器具エントレを使用した。訓練は歯科医、歯科衛生士指導のもと患者本人も毎日実施した。
【結果と考察】1ヶ月で顔貌、口唇閉鎖、流涎、むせに著明な改善が認められた。エントレはおしゃぶりの要領で吸い付き、これを使用して口腔体操をする事で鼻での呼吸や唾液の分泌を促し舌の位置を整え、嚥下に必要な筋力を向上させる為の器具であるが、本症例においては器具を使った訓練を加えたことが患者の意欲向上につながり良好な結果が得られたと考えられた。
脳梗塞発症後、高度の構音障害、摂食嚥下障害を起こし、長期間口腔機能向上訓練を受けて改善が見られなかった高齢者に対して器具を使った口腔トレーニングを行ったところ短期間に改善が見られた1例を経験したので報告する。
【症例の概要と処置】
67歳、男性。平成11年脳梗塞、平成24年 再発による右半身不全麻痺。平成25年転倒を機に徐々に歩行困難、失語症、嚥下障害が発現。週3回訪問リハビリによる歩行訓練等実施、週2回失語症デイケアにて言語訓練、週1回訪問歯科診療にて義歯作成調整、摂食嚥下訓練を継続していたが、むせ、流涎著明で改善軽度であった。軟口蓋麻痺を指摘され軟口蓋挙上床PLP を作成したが患者本人の拒否あり、平成31年3月当院に訪問依頼があった。訪問初診時は口唇閉鎖不全、右口角から頸部にかけて下垂し軟口蓋も下垂、常に流涎認めた。家族手料理によるとろみのついた食事を摂取していたが常にむせがみられた。顔貌非対称著明のため下顎位置確認とVF等の摂食機能検査を目的に地元総合病受診を勧めたが拒否された。前医では3ヶ月に1回のVE検査を続け、最終評価では兵頭スコア5点であったが、これも今後の検査は希望されなかった為、実施せず、RSST等非侵襲的基本検査のみ行った。治療としては口腔清掃、齲歯治療、上顎総義歯調整を行いつつ既存総義歯を利用したPAP舌接触補助床作製に加えて口腔機能向上体操、滑舌向上プログラム等の実施を週1回実施した。口腔機能向上体操時には摂食嚥下訓練器具エントレを使用した。訓練は歯科医、歯科衛生士指導のもと患者本人も毎日実施した。
【結果と考察】1ヶ月で顔貌、口唇閉鎖、流涎、むせに著明な改善が認められた。エントレはおしゃぶりの要領で吸い付き、これを使用して口腔体操をする事で鼻での呼吸や唾液の分泌を促し舌の位置を整え、嚥下に必要な筋力を向上させる為の器具であるが、本症例においては器具を使った訓練を加えたことが患者の意欲向上につながり良好な結果が得られたと考えられた。