一般社団法人日本老年歯科医学会 第31回学術大会

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加齢変化・基礎研究

[P一般-084] 咬合不正による認知機能低下関連物質の発現変化について

○前芝 宗尚1、堤 貴司2、吉田 兼義1、堀江 崇士1、都築 尊1 (1. 福岡歯科大学咬合修復学講座有床義歯学分野、2. 福岡歯科大学総合歯科学講座訪問歯科センター)

【目的】

近年,歯の喪失による咬合機能低下が認知機能低下をもたらすことが疫学的調査において報告され、マウスを使用した実験においても実証されている。しかしながら,早期接触などによる咬合不正と認知機能との関連性についてはいまだ明らかになっていない。そこで,今回,咬合不正が認知機能にどのような影響を与えるのか明らかにすることを目的とした.

【材料および方法】

実験は,若年者を想定した2ヵ月齢のマウスを用いて,上顎右側臼歯部咬合面にワイヤーを接着し早期接触を付与することで咬合不正モデルマウスを作成した. その後,これらマウスを無処置群,咬合不正1週間後,咬合不正4週間後群にわけ,新奇物質探索試験及び8方向性放射状迷路試験にて認知機能の評価を行った。試験後各々の群における、脳海馬を回収しWestern blottingと定量性RT-PCRを用いて認知機能関連分子の発現について調べた.

【結果と考察】

   認知機能の評価を行った行動試験において,8方向性放射状迷路試験による長期的認知能力および新規物質探索試験による社会的や短期的な認知能は2ヵ月齢(若年者相当)マウスの咬合不正1週間後において減少し,咬合不正4週間後においては回復傾向にあった。次に,海馬における咬合不正による認知関連物質の発現変化についてWestern-blotting及びRT-PCRにて解析を行った.咬合不正を与えると,2ヵ月齢マウスにおいて認知機能抑制に関連する物質は咬合不正1週間後に一過性に増加した.また,咬合不正4週間後においては減少傾向にあった。

  以上の結果より,咬合不正により認知機能抑制に関連する物質の発現が変化し,認知機能を低下させた.従って,精巧で正常な咬合状態を常に保つことで認知機能を維持することができると考えられた.











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