The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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特別シンポジウム

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超高齢者に安全な歯科医療を提供するために

座長:片倉 朗(東京歯科大学口腔病態外科学講座)

[SY8-2] 高齢者における循環器疾患とデンタルストレス:血圧変動を指標として

○久保田 一政1、猪越 正直1、上田 圭織1 (1. 東京医科歯科大学大学院高齢者歯科学分野)

【略歴】
1997年:
東京医科歯科大学歯学部 卒業
2001年:
東京医科歯科大学大学院歯学研究科発生機構制御学分野 修了
2001年:
Harvard University(Boston, U.S.A.)分子細胞生物学研究所 研究員
2004年:
理化学研究所脳科学総合研究センター 研究員
2009年:
東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科麻酔外来 医員
2011年:
成育医療研究センター手術・集中治療部 研修医
2012年:
東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科麻酔外来 医員
2013年:
東京都立東大和療育センター歯科外来 歯科医師
2015年:
東京医科歯科大学大学院麻酔・生体管理学分野 助教
2017年:
東京医科歯科大学大学院高齢者歯科学分野 講師

日本歯科麻酔学会「郡市歯科医師会アンケート」によれば全身的偶発症の発生時期は局所麻酔注入中・直後が55%と半数以上占めており、偶発症の種類として神経原性ショックが約6割となっている.一方、大学病院では基礎疾患の増悪によるものが開業歯科医院より割合が多いとの報告がある.日本は超高齢社会となり、有病高齢者の歯科受診も増加傾向にある.大学病院では基礎疾患を合併する高齢者の歯科治療を行う割合が多く、デンタルストレスによって基礎疾患が増悪し重篤な合併症が発生する割合が高いと思われる.しかし、今後開業歯科医院においても有病高齢者の歯科治療を行う機会が増加する.デンタルストレスにより高齢者の基礎疾患の増悪が散見されるが、現在のところ歯科治療がどのように有病高齢者の全身状態に影響を与えているか不明である.

 高血圧症は高齢者において最もよくみられる循環器疾患である.一方、抗凝固薬で治療される不整脈のうち有病率の高い心房細動では、高血圧は血栓・出血のリスクファクターとなっている.さらに抗凝固薬治療中における脳出血は重篤な合併症となる可能性が高い.Kodaniらは心房細動がありワーファリン治療中の患者において、収縮期血圧が136mmHg以上で維持されている場合に血栓・脳内出血・大出血発症のリスクファクターとなっていることを報告している.今回われわれは、収縮期血圧のコントロールがワーファリン治療中の患者の合併症予防に重要であると考え、抜歯治療中の患者の血圧変動とそのリスク評価を行ったので報告する.



Kodani E, et al; J‐RHYTHM Registry Investigators (2016) Impact of blood pressure control on thromboembolism and major hemorrhage in patients with nonvalvular atrial fibrillation: A subanalysis of the J-RHYTHM Registry. J Am Heart Assoc 5(9). https://doi.org/10.1161/JAHA.116.004075

 老年歯科医学会会員

COI開示なし.

 倫理番号 東京医科歯科大学D2017-020.