The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター

Fri. Jun 11, 2021 2:30 PM - 4:30 PM 認定医Line4 (Zoom)

[認定P-27] NST介入による多職種連携を行い食事摂取量の改善が得られた症例

○戸谷 麻衣子1,2、鎌田 政善3 (1. 公益財団法人老年病研究所附属病院歯科・歯科口腔外科、2. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科法歯学分野、3. とちはら歯科)

【緒言】
 2016年4月より栄養サポートチーム加算に歯科医師連携加算が新設されチーム医療の中での歯科の役割が重要視されている。今回、食事摂取不良でNST(Nutrition Support Team)介入となり多職種連携を行い食事摂取量の改善を認めた一例を報告する。
【症例】
 89歳、女性。ラクナ梗塞で入院。要介護1。既往歴に認知症(血管性、アルツハイマー併存。HDS-R12/30)、高血圧症、脂質異常症、両側耳下腺癌、難聴、左不全麻痺。ADL自立。独居。ファストフードが主食だった。145cm、59.3kg、BMI28.20。嚥下機能低下あり(咬頭挙上は1横指。挙上力の低下あり)。入院後、全粥ムース食トロミ付で主食1-3割、副食0割摂取と食事摂取不良であった。必要栄養量1100kcalに対し摂取栄養量は525kcal、アルブミン値2.3と低値でNST介入となった。口腔内は、下顎は右下123残存、左下123は残根状態、義歯は未作製、上顎は左上6のみ欠損で他は残存。臼歯部での咀嚼困難感あり。口腔乾燥と汚染が著明。なお、本報告の発表について患者の家族から文書による同意を得ている。
【経過】
 11/11NST介入開始。歯科から口腔ケアと義歯作製を提案。11/12歯科初診、口腔ケア実施。口腔乾燥には保湿剤の使用と顎下腺マッサージを指導した。11/14下顎義歯印象採得。STによる嚥下リハビリも継続。11/26咬合採得。12/3義歯完成装着。12/10義歯調整。ムラはあるが副食5-10割摂取でき、摂取栄養量も781kcalまで改善した。主食10割、副食8-10割摂取可能になり、12/16NST介入終了となった。12/23には嚥下機能改善あり、とろみなし、全粥から軟飯へ食上げとなった。
【考察】
 本症例ではNST回診時に歯科医師が口腔乾燥による口腔内汚染と下顎臼歯部欠損による咀嚼困難状態を発見し義歯作製と口腔ケアを実施、嚥下機能の評価とリハビリでSTが介入、食事形態等について医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、STで支援を行った。入院後、副食の摂取が全く進まない状況であったが、義歯装着し、咀嚼困難が解消され食事がしやすくなることで、食事摂取量の改善に寄与したと考えられる。NST介入において、多職種でアプローチすることで食事摂取量や栄養状態の改善につながると考える。