一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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実態調査

[P一般-052] 当院歯科における後期高齢者の実態調査 第二報

○西澤 光弘1、荒木 俊樹2 (1. 医療法人群栄会田中病院 歯科、2. 荒木歯科医院)

【目的】群栄会田中病院(以後は当院とする)は精神科、神経科、心療内科、内科を主体として、歯科のほか、精神障害者の社会復帰施設、精神科グループホームなどが設置され、さらに高齢者のための介護老人保健施設、療養病棟、認知症グループホームや有料老人ホームがあり多くの入院患者や入所者(以後は入所者とする)を抱えている。当歯科は主にそのような入所者や退院後の通院患者の歯科治療を行っており、75歳以上の後期高齢者も多数受診する。今回は当歯科を受診した初診時年齢75歳以上の後期高齢者を対象に調査したので、昨年の当学会第31回学術大会に続けて報告する。【方法】2019年1月~12月までに当歯科を初診・再初診で受診した後期高齢者118名を対象に診療録を基に調査した。【結果と考察】118名の男女比は男性41名、女性77名で平均年齢は83.9歳で最高齢は99歳であった。当院入所者は96名、外来22名で、外来22名中6名は当院に通院歴があり、基礎疾患を有する患者は117名(99%)であった。義歯保有者数は74名(62.7%)、非保有者数42名(35.6%)、不明2名(1.7%)であった。義歯の内訳は上顎全部床義歯43床、上顎部分床義歯26床、下顎全部床義歯28床、下顎部分床義歯33床であった。初診時一人平均現在歯数は11.8本で、年代別では75-79歳平均13.4本、80-84歳11.4本、85歳-では11.4本であった。これは全国平均(※1)(75-79歳18.0本、80-84歳15.3本、85歳-10.7本)を85歳以上を除いて下回る結果となった。抜歯処置を受けた患者と本数は全体で7名、8本で、比較的少ない結果となった。この理由として対象者の多くに基礎疾患があり多数の内服薬を使用していること、QOL向上のため術者が抜歯せずに可及的に消炎処置で対応したこと、多くが入所者のため急性時にすぐに対応し抜歯せずに済んだこと、高齢や拒否のため外科処置には向かないと家族や術者が判断したことなどが挙げられる。高齢者の歯科治療はその基礎疾患や患者自身の経験、家族の意向など様々な要因が治療に影響を与えるが、高齢者に敬意を表して対応し治療に望むことが治療をスムースに進める上で最も重要であると考えている。(※1平成28年歯科疾患実態調査)(医療法人群栄会田中病院 倫理委員会承認番号 20210103)